10/16/11

子育て本


幼い頃から厳しく躾けられて素敵な大人になっている人もいれば、自由奔放に育てられてこれまたとても魅力的な人生を送っている人もいる。
何がベストな子育てかを語るのは一筋縄ではいかない。

以前から黒柳徹子さんの「窓際のトットちゃん」のような随筆は子育てに応用できるヒントがちりばめられていて好きだと公言していたけれど、いわゆる子育てのマニュアル的な本を読むなんてくだらないと思っていた。きっと画一的なことが書かれているだろうと思っていたし。(実際そういう本も多いと思う)
息子も2歳8ヶ月になり、しっかりとした自我も芽生えて、すべてがスイートで順調な日もあれば親として壁にぶつかってしまう日も増えた。
そんな時ふとしたきかっけで手にした本2冊にいろいろアイディアをもらった。

「どうやって子どもを愛するか」なんて教えてもらわなくてもわかってるよ!と大きい声で言いたいところだけど、でもただ親本意で愛するだけでは子どもに伝わらない愛ってあるんだなぁ、など基本的な事に気づかされる。小さい時にいかに子どもを“子どもにしっかりと伝わる形で”徹底的に愛せるかを例題も豊富に経験豊かな幼児教育従事者が語ってくれる良書だった。

今でもこれを書いていて実はちょっとこういう子育て本を読んでしまったと告白するのがちょっぴり恥ずかしい。笑。(無駄なプライドが多い私、笑)
でもちょっと行き詰まっているママたちが、ネットでいろいろ検索して偶然にも私のブログに行き着いてくれてこの本の情報を共有することが出来れば嬉しいと思ったので書く事にした。

子どもは十人十色。どの子もたくさん素晴らしい可能性を持って産まれてきているはず。それをどうやってベストな方法で引き出してあげられるか知恵を絞るのは我々親の役目。がんばろう!

*「お母さんのための 日本一わかりやすい男の子の育て方の本」原坂一郎著(元保育士・子育てコンサルタント)PHP研究所

*「あふれるまで愛をそそぐ 6歳までの子育て 〜子どもの心にひびく愛 ひびかない愛〜」本吉 圓子著(NPO子どもの教育・幼児部門代表)株式会社カンゼン

10/15/11

わたしの愛用レシピ本


我が家は基本的にベジ食が好き。

本当は完全ベジにしたいけれど、友人との外食や我が家に肉食派のゲストもよく来る関係上完全に動物性タンパク質にさよならを告げるのもなかなか難しい現実がある。
厳密にいうと、”難しい”というよりも。きっとやはりどこかに心残りがあるのかもしれない。(菜食を続けていると自然に欲さなくなるので、日々確実にその未練も少なくなってきていますが...笑)

以前は「あれも食べません、これもなるべく食べないようにしています。」みたいな人に会うと、なんか「食=人生の楽しみ」の大きな一部分を拒否しているような人たちのように勝手に感じて<なんかお気の毒に〜>と思っていた。そして「私は(選り好みせずに)何でもいただきます!」と誇らしげに言っていた。でも息子が産まれて、食に関してもっと気を配るようになって勉強をはじめると選り好みをしないで何でも食べることの弊害が目につくようになってきた。スイーツにしても白砂糖や乳製品たっぷりのものは自然と避けるようになってきた。だって使わなくても十分に美味しいものが出来るのがわかったから。ちょっと前までは健康を意識したスイーツって”体に良さそう”な味はするけど普通のスイーツに慣れた人間にははっきりいって<これ食べるくらいなら別にスイーツ要らないし>的なものが多かったけど、最近はレシピの種類も多くて本当に美味しいものばかり。無理してる感が全くない。

家族の健康を(“内蔵脂肪の少ない健康な”そして”無駄な脂肪のない見た目にも美しい”肉体だけでなく、”クリアーな思考”や”浮き沈みしない安定した心の状態”など精神面もふくめて)毎日の食事で任されている者としてやはり野菜中心の食事にいきついた。「マクロビでなくちゃ」とか「ヴィーガン」「ベジタリアン」名称にこだわらず、良いところどりで楽しく料理&食事を続けていきたい。
写真は私が日頃よく参考にしている本たち。最近はレシピ検索などウェブでも便利にできるけれど、やはりレシピ本はあるとちょっと時間ができた時にパラパラ眺める事もできるし便利なのでおすすめ。

(左上から)
*「VEGE BOOK Eat Your Vegetables!」Cafe Eight著 リトルモア
*「VEGE BOOK2 Eat Your Vegetables!」Cafe Eight著 リトルモア
*「からだにおいしい野菜の便利帳」板木利隆監修 高橋書店
*「もっとからだにおいしい野菜の便利帳」板木利隆&白鳥早奈英著 高橋書店
*「Practical Cookery VEGETARIAN」PARRAGON PUBLISHING
*「The Self-Healing Cookbook〜Whole Foods to Balance Body, Mind & Moods〜」Kristina Turner (クリスティーナ・ターナー)著 Earthtones Press
*「チャヤの からだにやさしいスイーツ」浅場康司著(シェフ・ド・パティシエ)講談社

10/10/11

復興書店



ポーランドの作家ラファル・ノワコウスキさんの「二つの物語」が復興書店のWords&Bondsに掲載されました。
私も翻訳者としてお手伝いさせていただく機会に恵まれました。とても素敵な作品です:

http://blog.fukkoshoten.com/?cid=33308

復興書店は東北関東大震災復興を書籍で支援するプロジェクトです。その仕組みは下記の通りです。以下は復興書店店長・島田雅彦氏の挨拶文から抜粋です:「作家たちに自著を提供してもらい、それにサインやメッセージを書き込み、プレミア本にして、復興書店に送ってもらう。復興書店は商品リストを作り、ウエッブ上の書店にアップする。あとは読者がお気に入りの本を買う。売上から最小限の管理コストを差し引いた額を日本赤十字社あるいは信頼のおける復興支援団体に寄付する。」

翻訳のお話をくださった増田幸弘さん(「プラハのシュタイナー学校」(白水社)等の著者)が上の作品が掲載されたWords&Bonds部門の編集長役のいしいしんじさんの評を送って下さったので転載します。試行錯誤して仕上げた箇所もあったので良い評価がいただけて訳者としてのお役目が終わってホッとしました。:

「二つの物語」それぞれが、深い印象を残しました。長い夢からさめたばかりのような読後感。いや、いまもまだ夢のかけらがまわりにこぼれ、鈍くきらめいている感じもあります。
夢見草、読み始めてすぐ、そのイマージュのあざやかさに目が喜ぶのを感じました。ぼくがその地にいたことがあるはずがないのに、自転車で風を切る音が頬のそばで鳴っている。裏庭や牧草地のかおりがたちこめてきます。やがてそれらはすべて「記憶」という透明な箱にかこわれ、大切に保存されてきたものだとわかります。小春日和の中、その箱から「わたし」は歩みだし、ずっと遠くまで歩いてきたのですが、ふりむけばその緑の光、風のきらめきがかすかに目に届いてきます。

すでに外の世界へふみでているひと、これからふみだそうというひと、みなに豊かなまどろみを与える、すばらしい散文でした。

砂の味も「記憶」を扱っていますが、それは砂でできています。さらさらとこぼれ、掘っても掘ってもつづいている湿った砂。砂のこぼれたすきまから、母、祖父の声、採掘船のきしみ、ビスワ川の流れがちらほらと垣間見えます。うす黄色の砂場で遊ぶちいさな子どもの背中も。それはもしかすると、「わたし」なのかもしれない。ほら、べそをかいてオモチャを探したり、ガールフレンドの手をとろうかどうしようかまよったりしている。光が砂のようにおりてきてすべてをかくす。わたしはあたりを見まわし、砂のセメントでできた建物群のすきまに立ちつくしながら、いまそうして立っている自分も、砂のようなものであり、はかなく崩れ、流れ去り、周囲に溶けてみえなくなってしまうかもしれない、と感じている。けれどもそれは、時間との一体化ということでもあり、母や祖父や、自分につながるさらに古いひとたちと、深いところで出会う、ということなのかもしれません。

砂を掘る子どもの遊びから、宇宙をのぞき見るような、驚きにみちた作品でした。

また、ジャッジ資子さんの訳文がすばらしく、それぞれ「夢」のような、また「砂」が流れるようなことばを浴び、快感にふるえました。ただ、訳者のことばがうつくしい、というだけでなく、ノワコウスキさんの原文を、現地のかたが読んだらきっとこんなだろう、そういう感じをうけました。うつくしいけれどわざわざ見せつけようとするうつくしさでなく、ごくふつうに語をえらんでいったらこうなった、という自然さ。訳者の透明感が、この日本語での作品をいっそうきわだたせているとおもいます。