11/22/05

広州トリエンナーレ






急ぎ足で中国・広州トリエンナーレに行って来た。サイゴンも大気汚染かなりヤバいと思っていたけど、グアンジョウはその上をいっている。初日いきなり鼻の粘膜がやられてちょっと鼻血がでる。誰かが北京はもっと大気汚染ひどいよ、と言っていたけど、本当だったらあの公園で毎朝太極拳しながら深呼吸している人達は大丈夫なんだろうか!?

残念ながらサイゴンでの仕事の関係で金曜日のオープニングには行けずに、土曜日の夜のディナーからの参加となったため、ハンルーやHans、その他D−Labの関係者とは結構話す時間があったけれど、その他のアーティスト達はすでに帰国したり香港や上海に移動した後だったようで残念!

メイン会場のある二沙島は風も多少吹き抜け救われた。正直最近ビエンナーレ、トリエンナーレ続きで「またかぁ。。。」という感じは拭いきれないけど、でもまぁそれなりの雰囲気はある。作品の展示の仕方(スクリーンの大きさや音響)など疑問もいくつかあったものの、ずっと生で観たかったYuan Goang-Ming 袁廣鳴(あれ?漢字あってるかな?!)の作品などもあって、行ったかいがあったぞっ!と満足。ちなみにこのアーティストの奥様は日本人のアートライター+台湾現代美術リサーチャーをなさっていて、彼女のブログ面白いのでご紹介! http://www.home-room.org/blog/mio/

横トリは撮影禁止だったけど、広州は撮影OKだったので、会場でやたらと写真をとりまくっている観客が気になる。私も撮影はしていたわけなので人の事は言えないが、でも携帯やデジカメのファインダーから作品を観ながら近づいて行き、シャッターを切ると次の作品に移動、みたいな人が多くて「あれ?作品みてるぅ??」と気になる。

日曜日だったこともあり子供達が沢山来ていて、子供達の興味を引く作品、例えば大きなインスタレーションとか映像作品の周辺は賑わいをみせていた。Liu Weiの「消化不良」というインスタレーションの一つでたしかFantasiaというタイトルの玩具の武器などをアスファルトで練り込んだような彫刻作品の一つに鼻くそをなすり付けている子供を発見!!(笑。。。笑っちゃいけないんだけど、この作品が巨大な黒いウンチみたいに見える分それに鼻くそはやっぱりツボに入った、笑)警備員はどこにいるのだぁー!!!!

作品の大部分に英語の説明や字幕等がないので深い意味まで解らないのがあった。カタログにも大した情報はなく、インターネットやAsia Art Archiveなどを使ってリサーチしなければいけない。

広州トリエンナーレのサイトは:http://www.gztriennial.org/second/

11/14/05

ヌードルプロジェクト&GQイベント





先週はタイのチェンマイから来たアーティストのSutthirat Supaparinya (Som) とリサーチャーのCharunee Chirangworapot (At)のドキュメンタリーフィルム制作のお手伝い。ベトナムとタイの2カ国で「ヌードルと文化」の関わりをシェフやレストランでのお客さんへのインタビューを通してリサーチするプロジェクト。サイゴンで5日間、その後ハノイで5日間、ひたすら朝から晩までヌードルを食べるという荒技をやってのけてくれた。笑。Somは普段はチェンマイ大学でメディア・アートの教鞭をとっている。取材中結構機材等に関する豆知識を教えてもらったりしてためになった。完成した作品は今後フェスティバル等にも出品予定があるそうなので、また情報が入ったらお知らせします。

さて、日曜日はGalerie QuynhでBertrand PeretのQ&AセッションとHeidiによる電子音楽パフォーマンス。我々albb以外でこの手のイベントをするのは初めて。Q&Aの中でホイアン(ベトナム中部)に住むデンマーク人のアーティストから「何故ベトナムで展覧会をやっているのにベトナム人の観客が少ないのだ?彼らを無視してはいけない!」という意見が。写真でもおわかりのように実際参加者の9割は在住外国人。ギャラリーのディレクターにどういうパブリシティーをしたのか聞いてみると、外国人とベトナム人のバランスがとれるように考えて招待状を配布したとの事。彼女も何故ベトナム人の参加が少ないのか首をかしげている。もちろんこのアーティストのコメントは正論なのだが、この背景にはいろいろ事情があると思う。
Galerie Quynhは一歩中に入ると外国の風を感じるようなすごくスタイリッシュなギャラリィー。たぶん一部の外国人慣れしているベトナム人をのぞいてはちょっと敷居が高い感じ。昔私がギャラリィーを運営していた頃もやはり皆「一張羅」を来てギャラリィーを訪れるという感じだった。その点、ハノイにあるSalon NatashaやNha San Ducみたいな場所はたしかに作品を展示するにはやや特異な空間(オーナーのキャラクターがかなり濃く反映しているという意味)ではあるが、ローカルのアーティストや人間がふらりと気軽に訪れるという意味では非常に理想的なところ。でも質の高い展示空間を求めるとGalerie Quynhのような街の他の部分からはちょっと浮いた感じになってしまうのは避けられないし。。。どうやってローカルベトナム人とアートとの距離を狭めていけるかは今後の課題だなぁ。。。

11/8/05

やり場のない怒り




サイゴン・ビエナーレ主催の展覧会シリーズの第1回としてTran Huu Nhatの個展に行って来た。彼はフエ美術大学を出たばかりで、ベトナムの伝統芸術であるシルク絵の技術を用いてコンテンポラリーな主題の表現に取り組んでいる若いアーティスト。まだ荒削りだが、伝統芸術(シルク絵や漆絵)を学ぶ美大生の大半が「伝統」の箱の中から出られないベトナムの現状を考えると、自分を持っている数少ないアーティスト。いくつかユーモアのある表情豊かな作品があった。

彼の作品の善し悪しはとりあえず置いておいて、サイゴンビエナーレの運営に度肝を抜かれた。
到着してまずギャラリーの入り口にサインが無いのに驚く。私は数ヶ月前に同じ会場で行われたワークショップに参加していたので迷わずに済んだが、知らない人がいったらまず辿り着けない。数ヶ月前の時点ではサインが無かったのも「きっと移転直後で間に合わなかったのだろう」と思っていたのだが、今日に至ってもないのはおかしい。別にアンダーグラウンドな雰囲気を狙っているわけではない。単にオフィスの怠慢。そして会場に入って再度驚く。窓から入る自然光だけでライティングが何もセットアップされていない。これもアーティストの意志というのなら分かるが明らかに電気代節約。そして妙に空気がこもって蒸し暑い。シルクペインティングの展覧会だったが、数ヶ月後には作品に黴が生えている様子が容易に想像がつく。そして一番困惑というよりも笑ってしまったのはすべての作品が異様に高い位置にインストールされており、高さの違うキャンバス(基本的にすべて同じサイズのキャンバスを使用しているのだが、縦使いのと横使いのがある)がすべて底辺を真一直線上に合わせて展示してある事。ここまでくると「もしや、もしや、アーティストの何か狙いがあっての事?!」と思い本人にたずねてみるが狙いはないらしい。大学出たてでエキジビションの経験も少ないアーティスト自身に作品のプレゼンテーションにプロフェッショナルな意識が無いとは責めにくい。特にベトナムではまず大学で国際レベルの展示に関する知識(センターラインをまずとって...云々)なんてまず教えないので経験者が教えてあげるしかないのだ。

「サイゴン・ビエナーレ」と称してフォード財団からかなりのお金をもらって運営してるわけなんだから、せめてせめてせめて若いアーティストをサポートするというのならそういう基本的な事からサポートしようよ!!と思う。アーティストもそういうベーシックを知った上でそれに従うか従わないかを決めればいい。サイゴンアートに携わる者から言わせてもらうと本当にこういう資金があるのに意味のない使い方をしている現状に腹が立ってしょうがない。

サイゴン・ビエナーレのキューレーターに就任しているジュン(ジュン・グエン・ハツシバ)。現在はまだ韓国にいるはずだけど、彼はきっと何が起きているか知らないはず。って、いうか、知っていたとしたら彼のキューレーターとしてのセンスがわからない。
彼が帰国後、会って確かめなければいけない。

「どうせ海外からは重要なアート関係者はこないだろう」という前提に行われてる単なる既成事実作り(「サイゴンでビエナーレ(みたいなこと)やりました!」という事実)にしか見えないこの「サイゴン・ビエナーレ」。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーー、恥ずかしいっ!!!!!!!!! ビエナーレの実行委員長(?!)を務める女性はギャラリィーは運営してるけど、なんかお金持ちの奥様がボランティアでアートサポートしてますって雰囲気があってアーティストからも信頼がない。でも彼女は実家が政治的に権力を持っていて何となく今のポジションにおさまっている。フォードもフォード。やる気も能力もないただの権力者にお金渡してどーすんのよぉ!!!!

11/1/05

ギャラリィーオープニング




10月27日はGalerie QuynhでのBertrand Peretの個展「Photosynthesis」のオープニングに行って来た。Quynh はベトナム系アメリカ人の女性で私がサイゴンに来た当初からの友人である。サイゴンに数あるコマーシャルギャラリィーの中では一番国際レベルのマネージメントと展示環境が整っているところ。

基本的にはギャラリィーがリプレゼントするアーティストの作品展が中心だが、今回のように他のオーガニゼーションと共催の展覧会は初めて。共催したのはフランス人のグループWonderful District。アーティストはそのコアメンバーの一人。彼らは昨年から巨額な資金をもってサイゴンでアートスペースをオープンしようとしているオーガニゼーション。しかしいろいろな政治的な問題等でとりあえずサイゴンでのプロジェクトは断念して中部のホイアン市にアーティスト・イン・レジデンス中心のスペースをオープン予定。

Bertrandはテクノロジーと自然の共存をテーマに創作活動をしているアーティスト。彼のパックマンのシリーズは結構有名で、ツール・ド・フランスで選手達が走る路上に大きく描かれた彼の作品をTVや雑誌で目にした事がある人もいるはず。

Galerie Quynhのウェブ上でウェブ展覧会も開催されているので興味のある方はどうぞ。www.galeriequynh.com

Wonderful Districtのウェブはwww.wonderfuldistrict.org