7/18/06

「The Dream Collector」A+A Public Art Unit



昨年から企画していたプロジェクトがA+A Public Art Unitをサイゴンに迎えてついに始まった!これから7週間の長丁場である。 A+A Public Art Unitはベルリン在住の日本人アーティスト松坂愛友美とマドリッド在住のAlba Navas Salmeronの2人で構成。そもそも私が2人の活動を知るようになったのは彼らが昨年台北でSoap Projectをしていた時、台湾在住のアートライター・台湾現代美術リサーチャーの岩切みおさんが彼らの活動の様子をブログで紹介していたのがきっかけ。
(澪さんのブログ:http://www.home-room.org/blog/mio/) その後昨年の秋に私がカンファレンスでベルリンにいた時にその同じカンファレンスに来ていたTaipei Artist VillageのYaoさんに会いにきていた愛友美さんに偶然お会いして「あー!澪さんのブログの方ですねー!!」と盛り上がり、その後メールで交流を深めたといういきさつ。澪さん、縁結びありがとうございまーす!

丁度2006年度ジャパンフェスティバルの現代美術のプロジェクトに参加しないかというお声をかけていただいたのと時期が重なり、それではせっかくの日越友好の機会にベトナムのコミュニティーにアートを媒介に入っていけるようなプロジェクトをキューレートできないかと考えていた矢先の出会いだった。

毎回ユニークなアイテムを現地人との交流の媒介に選ぶ彼らだが(過去にはお茶、ゴミ袋、ハーブの植木、石鹸など)、今回はベッドシーツ。彼らの連絡先と引き換えに現地の人に渡して歩き、実際にそのシーツの上で見た夢を定期的に聞いて、それをシーツに刺繍していくというもの。最終的に、その交流プロセスの記録と刺繍されたシーツの展示という形で8月末に発表予定。またプロジェクトの経過は少しずつお伝えしていくのでお楽しみに!

7/13/06

ジョグジャリポート:新プロジェクト「1000 LETTERS」への参加者呼びかけ


5月27日にジョグジャカルタを襲った大地震。大切なお仲間の多いジョグジャ。アートコミュニティーの友人達から送られてくる現地報告に一喜一憂する1ヶ月半が過ぎ、少しずつ状況は落ち着きをみせているようではある。しかし家族や家を失った人々の心に空いた穴は物資配布だけでは埋められない。。。将来にもう希望の光がみえないと感じ自殺をする大人のニュースも度々耳にした。毎晩まだ悪夢にうなされる子供達。今回の地震で学校の校舎が殆ど跡形もなく崩壊した事実は、いかにインドネシア政府が粗悪な材料(砂を大量に混ぜたコンクリート等)で安く公共建設を済ませていたかが明るみにでて地元の人々の怒りとなった。地震発生時が早朝だったこともあり最悪の事態は免れたが、もし子供達が授業中だったら。。。と想像しただけでゾッとする。校舎を無くした子供達は学校教育も一時停止状態。そこで今回我々が義援金を託したスジュットさんや仲間が話し合いのあと思いついたのは物資配送だけでなく被災地の村々を訪れて特に子供を対象にしたアートキャンプの開催だった。本業もアーティストの彼ら。教育もきちんと受けてきた彼ら。自分達の持っているスキルを子供達に還元したいとの思いからである。EARTHFELLOW and CHILDREN & ARTCAMP PROGRAMと題して一般教養だけでなく、ドローイング、染色、写真や陶芸などそれぞれの専門分野をいかしてワークショップを開いている。そのプロジェクトの一環で子供達のグループに使い捨てカメラを与えて「子供達の見た震災後のジョグジャカルタ」をドキュメントしてもらうというワークショップも進行中。この写真は後述する「1000通の手紙」プロジェクトと共に最終的にカタログにまとめる予定。

「1000通の手紙プロジェクト」とは、彼らがプロジェクトを行っている9つの村にいる子供達、合わせて約1000人に手紙を送って励まそう、お友達になろう!という企画。スジュットさんがメンバーのTHE HOUSE OF NATURAL FIBER をはじめ DOING GOOD やYAYASAN ADINDAといった有志が集まって、インドネシア国内や外国の友人達の連絡網を使って参加者を呼びかけている。私とパートナーのフィリップも早速手紙を送ったところ。英語の手紙だと彼らもインドネシア語に訳しやすいが、もちろん日本語の手紙でも私宛に送っていただければ英訳して彼らに送りますのでご心配無用。もしお時間がある方は是非是非短くても構いませんので子供達にメッセージをお願いします!その時にお手紙と一緒にお写真もメールで添付していただける子供達も喜びます。締め切りは9月末。この手紙は最終的にSudjudさんとプロジェクトリーダーの一人でもあるIraさんが編集、彼らのアートグループの Tommy と Istasがデザイン、そして手紙からのインスピレーションをもとにサウンドアーティストの Venzha とRene Lysloffが音楽CDをつくりカタログとしてまとめて11月初旬に出版予定。インドネシア国外でもアーティストとして知名度のあるこのアーティスト集団とコラボできるいい機会でもある。

詳細のお問い合わせや日本語でのお手紙の送り先は:motoko628@gmail.com 郵送の場合は 17/8 Nguyen Huy Tuong, P.6, Q.BT, TP.HCM, VIETNAM , Motoko Uda宛まで。

さて最後になりましたが、今回義援金にご協力していただいたメンバーのご紹介をさせていただくと共にこの場をお借りしてジョグジャ現地の友人を代表して心より感謝の気持ちをお伝え申し上げます。
(敬称略、順不同)
今関和枝、 神田洋美、岸洋子、木村友美、小林理恵、こやま峰子、近藤ヒロミ、坂爪明子、桜井乃武子、清水初枝、鈴木正美、関根律子、田崎、佑子、田中敏郎、田中正夫、中田かおる、中田英久、茄子倉真澄、長谷川靖子、深澤克麿、丸山哲郎、矢田洋子、山本雅江、日本電工(株)の有志、宇田隆人、宇田浩子。義援金送金に際しては、近藤ヒロミ様のご尽力により東京三菱UFJ銀行の原澤隆三郎様のご配慮で、特別に海外送金免除のお手配をいただきました。皆様の温かいご協力に心より感謝申し上げます。 ありがとうございました!!今後もどうぞジョグジャの復興を温かく応援してあげてください。宜しくお願い致します。

7/11/06

transSplash2006!~Jouissance~






6月29日、サイゴンダウンタウンにあるXuというスペースを貸し切って第1回transSplash 2006!を行った。このtransSplashはTanquerayのスポンサーを得て毎年恒例のアートイベントにする予定。6人のアーティスト/グループが今年のテーマ「Jouissance」に基づいて作品を発表した。Jouissanceとはフランス語でいわゆる「快楽/beyond エクスタシー」を意味する。スーと私はキューレーションだけでなくalbbとして作品も提供した。



























ことしの参加者は:Ngo Dinh Truc (lighting sculpture)/ Wonderful Atelier (video projection& lighting installation)/The Propeller Group (video)/Vu Nhat Tan (sound&performance)/ electricfrith (sound performance) and a little blah blah (video/performance/installation)
オープニングには350人以上が集まって(70%ベトナム人&30%在住外国人)作品を楽しんだ。サウンドアーティスト達によるパフォーマンスが終わった10時過ぎからはイギリス人DJ Mark Jollyがテイクオーバーしてダンズパーティーに。

ちなみに我々albbはこのイベントの作品製作のためにオフィスに1週間ビデオ撮影用のセットを設置。18世紀ヴェニスをイメージしたバロックな感じのセットで出演者(スーと私とゲスト)はコスチュームとカツラ、ゲストはマスクまでかぶっての完璧「コスプレ」ウィークとなった。5日間の撮影期間8人のゲストをこのセットに一人ずつ招待して朝から晩までお酒を飲みながら「Physical Pleasure」について語った。撮影中もかなり強行日程だったけれどその後我々を待っていた編集作業はさらに過酷で不眠不休の2週間を過ごしてスーも私も疲れを通り越してスーパーハイ状態に。(笑)とりあえずオープニングに間に合って一安心!この疲労感こそまさしくアーティストにとっては Jouissance !!もう一つバラを使って会場の一室にインスタレーションを創作。ちなみにこれだけのバラ、東京とかで買ったらとんでもなくお高いのでしょうね。ちなみに私達は深夜の花市場を何度も訪れてこのバラすべてで200米ドル!翌日このインスタレーションは崩してまだ綺麗なお花達は近くのお寺に献花した。

7/7/06

どうなるサイゴンオープンシティー?




「サイゴン・オープン・シティー?何の事じゃ?」と思われるかもしれないが、地元の人間でもあまりわかっていないのでご心配なく。これはいろいろゴタゴタ運営で話題だったサイゴン・ビエナーレの名称変更後の名前。

昨年末のカンファレンスで発表された新しいキューレーター、Rirkrit Tiravanija とGridthiya Gaweewong。 しかし、その後何もお知らせがこないので「やっぱりあれも適当な発表だったんだね...」と周囲が忘れかけた頃にワークショップのお知らせが届いた。2人のキューレーターとベトナムのプロジェクトディレクターTran LuongやDinh Q.Leなどの前で招待されたアーティスト達が(注意:ビエナーレへの招待ではなくあくまでもワークショップへの招待)過去の作品を一人ずつ皆の前で紹介するというワークショップ。私はビジュアル・アーティスト兼アーティスト・イニシアティブ a little blah blahのディレクターとして招待を受けた。
ワークショップの始めにコンセプトが紹介された。要旨だけをお伝えすると昨年のカンファレンスで話していた2006年末から2007年初めにかけて40カ国からアーティストを招いてあーだこーだの企画はすっかりなくなり、2年間の長期プロジェクトに変更。2年間を3部にわけて(1) Revelation 2) Reunification 3)Reconstruction、 第一部は小さいエキジビションの組み合わせ、第二部はコミュニティーに根付いたプロジェクトそして最終章に関しての詳細は後日発表。第一部オープニングは11月24日に決定。

ワークショップの翌日に催されたお食事会。サイゴンのオルタナティブスペースやギャラリィー、美術協会の理事などが集まった小さな会。趣旨はキューレーターとサイゴン・オープン・シティーの可能性について語ろう!というもの。財政面(誰がどこまで特定のプロジェクトを支援してくれるのか)等々具体的な質問がでた 。キューレーター達の一つ一つの質問に丁寧に答えようと努める姿勢には好感がもてたが、話がベトナムの歴史、特にベトナム人の戦争観の話(北の人南の人でも随分違うし)に及ぶとやや不勉強さが目立ち、やはり全体的には明瞭さにかける印象を受けた。ベトナムで文化的なイベントをするのは非常に複雑である。現地のマネージメントが強力にバックアップしないとせっかく外国から優秀なキューレーターを招待しても無駄に終わる事も十分に考えられる。オープンシティーのマネージメントは殆ど素人の集まりのようなもの。正直非常に心配である。またアップデートはブログ上で随時ご紹介。