12/11/07

Yuan Goang-Ming個展in台北


何かとお世話になっている台湾在住のアートライター岩切みおさんのご主人さま、袁廣鳴(Yuan Goang-Ming)氏の個展が今月15日から台北のIT PARKではじまる。台湾のビデオアーオの先駆者として知られる同氏の作品は光州ビエンナーレなどで拝見した事があるが、私はとても好きだった。今回は残念ながら台湾に行けそうにもないが、もし行くご予定のある方は是非!

Solo Exhibition by Yuan Goang-Ming
Disappearing Landscape
15 December 2007~ 12 January 2008
Opening Reception: 7:00pm, Sat., 15 December 2007

Yuan Goang-ming will present his new series Disappearing Landscape in his solo exhibition at IT Park, breaking his silence since the City Disqualified series in 2002. In this new work, a concept of removal has been adopted again, and transformed into a more poetic concept of disappearing. The presently disappearing landscape not only indicates natural scenery being lost, but also involves imagined scenery and how we identify things.

Disappearing Landscape is not a narrative, but brings up an embarrassing state of presence that exposes an ambiguous relationship between 'illusion' and what we call 'truth'. The work not only disguises a profound reality that is disappearing, but at the same time is covertly reflecting a profound reality.

This series consist of digital images and a multi-channel video installation. The video installation is a synchronizing projection with three screens, with each part filmed simultaneously by three cameras that move straight ahead. The lens passes through the artist's home, neighboring abandoned houses, a forest and a city shot from a low angle.

The digital imagery shows that Yuan painstakingly removed all the veins from scanned images of leaves via computer manipulation. While the rhizomes and branches remain, the artist creates scenery that is homogeneous, complex, familiar, yet unfamiliar. Every leaf links to a rhizome and to a branch, but it has no vein on its surface--- it is as if the leaf has no distinct face while it seems to be surely originating from somewhere. Does a leaf have a reason to be a leaf? How is it defined as a leaf, just like how are we identified as individuals, by our surface features, or by something deeper? This strange scenery is still, only disappearing.

Location: IT PARK
Gallery Hours: Tue. ~ Sat., 1:00pm ~ 10:00pm
41. 2/3fl. I-Tong St, Taipei, Taiwan.
tel: 886-2-25077243
fax: 886-2-25071149

12/4/07

キュレーターNguyen Nhu Huy




9月20日から11月11にかけてサイゴンで開催された「Art in Marathon」プロジェクトのレポートをアート遊覧で閲覧可能:
http://www.art-yuran.jp/2007/12/post_8783.html#more

長年の仕事仲間でもあるアーティスト/美術評論家のNguyen Nhu Huy(グエン・ニュー・フイ)がキュレーターとして最近活動をはじめた。その様子をレポート。

10/31/07

Katrin Paul 「Are you in line?」



Katrin Paulのサイゴンでの個展「Are you in line?」のレビューがリニューアルした季刊誌ARTiTのウェブサイトで閲覧できます:

http://www.art-it.jp/review_detail.php?id=27

10/22/07

「善きひとのためのソナタ( Das Leben der Anderen)」



「善きひとのためのソナタ( Das Leben der Anderen)」は2006年製作のドイツ映画。

ベルリンの壁崩壊約5年前の東ドイツを舞台にストーリーは始まる。強固な共産主義体制の中枢を担っていたシュタージの実態を暴き、彼らに翻ろうされた芸術家たちの苦悩を浮き彫りにした作品。監督フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクが歴史学者や目撃者への取材を経て作品を完成。第79回アカデミー賞外国語映画賞受賞作品。

旧東ドイツの共産主義の監視体制を克明につづった作品としての面白さももちろんあったが、それ以上にそこにある人間の心の動きに心を打たれた。現在でも共産主義体制のベトナムに関わる者として、監視下のもとで創作を続ける芸術家たちの心情は他人事ではない。

話は若干それるが、つい先日久しぶりに吉本ばなな(注意:現在は全部ひらがなの“よしもとばなな”がペンネーム)の鮮烈なデビュー作「Kitchen」(1987)を読み直す機会があった。その中で登場人物の一人、えり子さんが主人公のみかげに自分の生き方を語るシーンがある。

<以下「Kitchen」より抜粋>
「いろいろ、苦労があるのね。」
 感動して私(みかげ)が言うと、
「まあね、でも人生は本当にいっぺん絶望しないと、そこで本当に捨てらんないのは自分のどこなのかをわかんないと、本当に楽しいことが何かわかんないうちに大っきくなっちゃうと思うの。私は、よかったわ。」 
 と彼女は言った。

シチュエーションも何もかも違うけれど、「善き人のためのソナタ」の主人公ヴィスラー大尉が変わっていく様を見ながら妙にこのえり子さんの言葉<人生は本当にいっぺん絶望しないと、そこで本当に捨てらんないのは自分のどこなのかをわかんない…私は、よかったわ。>を考えていた自分がいた。

ヴィスラー大尉が毎日盗聴を続けていく過程で、ドライマンとクリスタの人間らしい自由な思想、芸術、愛に溢れた生活に影響を受け、冷徹なはずの彼の内面に変化が生じ始める。あるとき盗聴器から流れてきた美しいピアノの音色―それは、ドライマンが友人から「この曲を本気で聴いた者は、悪人になれない」という言葉と共に贈られた、“善き人のためのソナタ”という曲だった―を聞いたことを境に彼の中に生まれた感情はより人間らしい人間としての目覚めだったとも思うし、やはり彼ら(=他人)に対する尊厳や愛が生まれたのだと思う。この愛を考えたときにまたまた浮かんだのは吉本氏の「うたかた」の一節。

<以下「うたかた」から抜粋>
人を好きになることは本当にかなしい。かなしさのあまり、その他のいろんなかなしいことまで知ってしまう。果てがない。…(以下省略)

最終的には心地よい終わりの映画だが、ヴィスラーがそのソナタを聴いて心揺すぶられ、彼の選んだ行動をとり、その行動が何を意味したのかを知るまでには、果てしないかなしみや虚無感があったと思う。
最後にクリスタの語った言葉も印象的だった。

お薦めの一作品。

10/4/07

サイゴンアートレポート


上)Imagination: Suprnation " immortiS mutatiS mutandiS h5nOneness escortagency and carrier craft service"

遅ればせながら7月末のサイゴンアートイベントレビューをアート遊覧に寄稿しましたのでご報告まで:
http://www.art-yuran.jp/2007/10/post_c3fa.html#more

9/25/07

私達にできること。。。



すでに個人的にメールで情報を送った人もいるが、ミャンマー(ビルマ)で軍事政権に反対する抗議デモが急速に広がっている。ヤンゴンでは僧侶らのデモが連続7日目に入り、今日9月25日現在10万以上が参加している。軍政の出方が注目されている今、武力弾圧を阻止するための署名運動が下記のURLから出来る。
英語のサイトだが、サイトに行くと、名前、メールアドレス、国名を入れてクリックするだけ。支援できる方には是非訪れてもらいたい。

Burma is ruled by one of the most brutal military dictatorships in the world. For decades the Burmese regime has fought off pressure--imprisoning elected leader Aung San Suu Kyi and democracy activists, wiping out thousands of villages in the provinces, bringing miseries from forced labour to refugee camps.

But last Tuesday Buddhist monks and nuns, revered in Burma, began marching and chanting prayers. The protests spread—now they're growing by tens of thousands every day, as ordinary people, even celebrities and comedians join in.

http://www.avaaz.org/en/stand_with_burma/tf.php?CLICK_TF_TRACK

Peaceful protesters numbered 20,000 on Saturday, 30,000 on Sunday, 100,000 today. This week, they could win a new life for their country. In the past, Burma's military rulers have massacred the demonstrators and crushed democracy. This time it can be different—but only if the world stands with the Burmese.

Global leaders are gathering now in New York for the annual United Nations summit. In speeches and press interviews, we need them to show Burma's military junta how grave the consequences will be if they crush the protesters with violence this time. Click below urgently to sign the emergency petition supporting the peaceful protests in Burma, it’ll be delivered to UN Security Council members and the UN press corps all week:


http://www.avaaz.org/en/stand_with_burma/tf.php?CLICK_TF_TRACK

9/23/07

Robert Egger


社会事業家としてWashington D.Cでd.c.central kitchenを1988年に創設したRobert Egger氏のドキュメンタリーを見てその活動に納得した。

「ただ施しをする」のではなく「社会との接点をもたせるチャンスを与える」。。。この発想に至る事自体は多くの人にできると思う。ボランティアに参加するのも、批判するのも、それ自体は難しいことではない。

支援する対象の国の政治社会体制、対象者の年齢や貧困の度合い。。。それぞれに求められるものは違う。

自分の生活を犠牲にしてまでの支援活動にも、自分の恵まれた生活への一種の罪悪感を拭うための支援活動にも、起業の税金対策の寄付にも、それぞれにそれなりの疑問は沸く。でもそこに何らかの支援を必要としている人がいる以上、モティベーションの詳細は何でもいいのかもしれない、とも思う。

一度きりの援助は楽でも継続には根気がいる。踏み出すのには責任がいる。一つの活動方法を見つけ、それを行動に移し、そしてそれを継続してきたEgger氏の話には説得力があった。

仕事だ恋愛だ、なんだかんだと小さなことに一喜一憂している自分の生活がもちろん嫌ではないが(生きてる。。。って感じはするし、笑)でも30を過ぎてやはり人生それだけでいいのか?という思いが強くなってきた。

社会に貢献する形は幾通りもある。自分に何が出来るだろうと今考えている。

9/15/07

Mr. Abe & Mr.&Mrs. Murakamiの今後。。。




9月12日水曜日。久々の長期帰国で日本生活を満喫する私。
朝8時15分の回を見逃したNHK朝の連続ドラマ小説「どんど晴れ」を見るべくTVをつけたら阿部首相辞意表明の速報が入った。「お”っ・・・」が私の最初の反応だった。恥ずかしくない程度には情勢に気をつけているつもりでも13年日本を離れていてしょっ中変わる閣僚の名前を覚えるのも怪しい‘なんちゃって’日本国民化している私。そんな私だが、この速報とそれに引き続く記者会見を何ともいえない歯切れ、後味の悪さ、一国民としての「えっ、それで、やめちゃうわけ?」という憤りと同時に<何かおかしいけど、大丈夫阿部さん??>という一種の同情のような複雑な思いで受け止めた。3時過ぎまでニュースに釘付けになり、その後一先ず自分の生活に戻ろう!と心を落ち着かせて日課のメールチェック。

すると今度は<突然だけど、今週中にも結婚するかもしれません。結婚保証人として大阪にきてくれる気ある?>という友からのメール。この友、ずばり悪友である。かけがいのない友である。アメリカ国籍のこの友J君はある日本人女性と恋に落ちてサイゴンから大阪につい2週間前やってきた。Jの幸せは何よりの喜びだし彼の突発的行動には慣れている(と思っていた)私だが、阿部さんのニュースの後、再び「お”っ・・・」こっちもきたかっ、って感じである。(笑)

どーなりますやらこのお二方。続報を待つ私。。。

9/8/07

再会


写真:Stefano Garvasoni 撮影:Guy Vivien

以前このブログでもご紹介した事のあるアムステルダム在住のビジュアル・アーティスト/コンサートピアニストの向井山朋子さんに東京で再会。

7月に「夏の旅 シューベルトと街の音」で全国ツアーをなさっていた時はお互いに都合が合わなかったが、今回は彼女もご多忙の中2回もお会いできて良かった。

今回はサントリーホールでのサマーコンサートに参加されるのが目的のご帰国だったが、先週末TAKA ISHII Galleryでの竹村京さんのオープニングにご一緒した後で久しぶりにお好み焼き屋でお夕食となった。

来年のプロジェクトの話をしなきゃと思いつつ(最後にはきちんとしましたけど、笑)、積もるパーソナル話が絶えずに結局最後は人生の先輩である朋子さんに励ましてもらっていた私。。。朋子さん、ありがとうございました!

4日のコンサートは来年のプロジェクト(Wasted)を思わせる印象的な衣装で東京交響楽団(指揮:本名徹次)と共演でStefano Garvasoni 「Fantasia~invenzione a una voce, per pianoforte e orchestra (幻想曲~ピアノとオーケストラのための一声のインヴェンジョン(2005)」を演奏。サイゴンで朋子さんに会っている母共々、久しぶりの現代音楽すっかり堪能。ちなみに指揮者の本名氏は現在ベトナム国立交響楽団ミュージック・アドバイザー・指揮者。

奇しくも、前回のご帰国時も大型台風が日本を直撃、そして今回も大型台風上陸、と台風のようなパワーをもってご活躍される朋子さん。またお会いするのが楽しみ!

8/5/07

one 脱線 after another


インターネットでよく調べ物をする。ネット上の情報の信憑性に関しては最善の注意を払って参考にしないといけないが、検索していく途中でどんどん脱線していって面白い発見をすることがよくある。

先日、たまたま検索していたある人物からネットサーフィングしていくうちにThe Whole Earth Catalogue(以下WEC)という1960年から70年代にかけて存在した出版物にたどりついた。ここにたどりつくまでにかなり他の寄り道もしているのだか、元々このWECには全く無縁そうな人物からここに繋がったのが面白い。そしてこの出版物の歴史がまた面白い(詳細に興味のある方は御自分で検索してください。またそこから脱線して面白い発見があるかも!?!)。しばらくWEC周辺をうろうろ検索していると次はApple & Pixar Animation CEOのSteve Jobs氏に行き着いた。私もMac愛好者なので彼の名前には馴染みがあったけれど、彼がWECと結びつくとは思わなかった。そのつながりとは、彼が過去にスタンフォード大学の卒業式のゲストスピーカーとして招待されたときにWECの最終号の背表紙に記載されていた言葉「Stay Hungry. Stay Foolish.(ハングリーであれ。愚か者であれ。)」を卒業生に送る言葉として引用していたことだった。あとで周りの人間に聞くと結構有名なスピーチで話題になっていたらしい。知らなかった私の無知さは露見してしまったが、遅ればせながら彼のスピーチを聞いてみた。You Tubeにあがっていたので興味のある人はどうぞ。

http://www.youtube.com/watch?v=D1R-jKKp3NA

ちなみに山口さんという方が彼のサイト上で日本語訳をつけて全文紹介なさっているので興味のある方は

http://www.h-yamaguchi.net/2006/07/jobs_2f1c.html


彼のスピーチを聞いていて面白く感じたのは彼がほとんどと言っていいほど難しい言葉を使わないこと。世界でもトップクラスの大学の卒業生を前にここまで「普通の」ボキャブラリー、表現で心を掴む彼の姿を見てスピーチ力とはなんだろうと改めて考えさせられた。

ここからまた脱線して過去のJobs氏のプレゼンテーションなどを検索していくと最近のものでアップルコンピューターの新作発表のときのものがあった。

http://news.com.com/1606-2-5894182.html

個人的にはやはり自分の陣地で余裕で楽しみながら新作発表するこちらのJobs氏のプレゼンテーション能力がより輝いて見えた。

しょっちゅうこんな脱線を繰り返しながら調べ物をしている。インターネットが普及する前の自分の生活がもはや思い出せなくなってきている今日この頃である。

8/2/07

えぇーっ?!?


わからない。消滅したんじゃないの、Saigon Open City?
今年の初めに大型国際展のオープニングを見事に失敗のうちに、開幕すらさせずに終わりを迎え、ある意味歴史に名前を刻んだSOC。その後新しいディレクターを迎えたという話があったものの忽然と姿を消した彼ら。このブログでも以前に何度もご紹介している。

その彼らから昨日招待状が届いた。死んだと思っていた人から誕生会をやるから参加してと招待されてるようで正直気味が悪い。

招待状には「The first contemporary art gallery in HCMC…」とか書いてある。いつからホーチミン市初のコンテンポラリーアートギャラリィーになったのだ?!?

エキジビションの欄をみると、SOCの代表取締役的人物マイ女史の個人のコマーシャルギャラリィーが会場になっている。公私混同か?!?

きっとフォード財団もお金を出してしまった以上、何か形にしてもらわないと困ると思って「仲良し」であるマイにプレッシャーをかけているのだろう。

どんなイベントになりますやら...。

7/25/07

Levity


©Yoriko. D, 2007

7/23/07

craigslist の悲劇



「えーーーっっ!!!私じゃないっっ!!!!」って事が起きた。

そもそも事の始まりは2日前。友達からメールで、craigslistで誰かが君を探してるようだけど、内容からして君の事ではなさそうだし、一応チェックしたほうがいいよ、と連絡が入った。何のことじゃ?と思いながら覗いてみてびっくり。

craigslist.orgとは元々サンフランシスコベイエリアから生まれた情報サイト。今では世界中にそのネットワークは繋がっている。物の売り買いや、あらゆる情報の交換、恋人や友人を募集する人もいる。

そのベトナム版の人探しのセクションでMotokoという人物を探しているミスターSという人がいた。まぁ、ここまでだと、単にMotoko(私である可能性も含めて)を探している人が出した広告、って感じだけど、2回目3回目の広告を読み進めていくと解釈の仕様によっては猥褻な内容の匂いがする。

Motokoという名前はそんなによく出くわす名前ではないし、ましてやあんな小さなサイゴンコミュニティーに他にMotokoがいたならば7年も住んでる私の耳に入らないわけがない。(いる可能性はもちろん完全に否定はできないけれど)

となると、私も含め、この広告を偶然読んだ私を知る人は十中八九、私の事と勘違いするだろう。

数年前にコンピューターや情報交換サイトがベトナムでも普及され始めたときにベトナム人の友人で仕事上の恨みをかって、相手に写真や嘘の情報をサイト上でばら撒かれ被害をこうむった人の話を思い出した。日本も含め世界中でこういう嫌がらせは多いと聞く。

今回の場合本当にこのMotokoが誰かわからないし、猥褻な要素は含むもののそこまでヒドイ内容ではなかった。とりあえず、craigslistの管理者に事情を言って説明したら速やかにその問題箇所を削除してくれたのでひとまずホッとしているが、自分の知らないところで誰かにイタズラされてることがネット上ではありえることを考えると空恐ろしい気持ちになる。恨みとかかってなくても、愉快犯っていうのもいるし。。。あー、こわいっ!

ちなみについ2ヶ月前にも全く事実無根のネット上の映像と私が関わってると勝手に思い込まれて非常に嫌な思いをしたばかり。最終的に誤解はとけたような、とけなかったような。なんとも後味の悪い記憶として残っている。

便利なネットの巣にお互いに絡まれないように気をつけましょう。。。誰だって被害者になりうる事実に案外気付いてない人多いと思うし。。。

7/20/07

Galerie Quynh 衝撃のニュース


サイゴンのコマーシャルアートシーンの中心的存在でもあるGalerie Quynhが新しいスペースに移動して数ヶ月。換気システムなど大掛かりなリノベーションがやっと完了した、とのニュースを聞いてから数週間。

今でもオフィスとして残る23 Ly Tu Trong, Q1の小さなスペースからNYのチェルシーにでもありそうなこの巨大なロフトスペースに移動した時はサイゴンアートコミュニティー全体が興奮で湧き上がった。

そんな記憶もまだ新しい中で、つい先日ショッキングなニュースが。

なんとこの倉庫来月突然の取り壊しが決まったのだ。

もともとダウンタウンの一等地に取り残されるように残っていたこの美しい倉庫風建物。フランス植民地時代の名残である。古いので新しもの好きのベトナム人には外国人やアーティストが何故このスペースを賞賛するのかがまず大きな疑問だったと思う。

入居当時からオーナーのQuynhも開発の波が押し寄せるサイゴンにあってこの建物もいずれは取り壊されるだろうとは承知していたが、まさかこんなにも早くにその時が訪れようとは予想していなかっただろう。契約は2年間だったらしいが、ベトナムの建物や土地は基本的にはすべて国のものなので、政府が取り壊しを決めたら従うしかない。ベトナムの土地は‘借地権’という形で60年などの単位で購入される。きっと多額のオファーをしてきたデベロッパーが現れたのだろう。お金の前には契約書なんてただの紙切れになってしまう。こういうベトナムの一面がまさしく外国人投資家が恐れるところである。

来る7月21日夜6時から8時まで、一夜限りのイベントがこのスペースで開催される。閉鎖後しばらくは、元の23 Ly Tu Trong, Q1オフィスで企画展は続けられる。9月中旬以降のことは未定。

詳細は彼等のウェブサイトから:

www.galeriequynh.com

7/18/07

Thomas de Zengotita



服の趣味から何から全く違って<どうしてこの2人が仲良しなんだろう?>と思う組み合わせがたまにある。

私にも<どういう縁でこの人と出会って、影響を受け合ってるんだろう?>とたまに考えがよぎりつつも、何かあるなしに関わらず連絡をとっている友達がいる。迷惑かけあったり、助けあったり。

この一見いつもハイで宙ぶらりんの感じの友が、なかなかの知識人である。なかなかの。。。なんて私がコメントするのが失礼なくらい非常に賢い。ただ、一見そう見えない。話すとすぐわかるけど。そう見えるのを否定するかのようにわざと生きているタイプである。そんなギャップがきっと魅力なのかな。

この賢い友のお陰で、私の読書の幅もひろがる。有難い。
今回はそんな彼が大学院時代に心の師と仰いでいた考古学者、哲学者であるThomas de Zengotita氏の文章に触れる機会がもてた。ここで紹介するURLは英語になってしまうが、日本語訳書も出ているのではないかな。。。一ひねりも二ひねりもある人間論、人生論。面白い。

http://www.logosjournal.com/issue_4.1/de_zengotita.htm

http://dir.salon.com/story/books/int/2005/03/04/de_zengotita/index.html?pn=3

7/13/07

Himiko Visual Saloon 個展情報



昨年のNIPAFに招待されてパフォーマンスアーティストとしてのデビューを果たしたHoang。現在31歳のエネルギッシュな女性である。大学で日本語の勉強をして日越の研修生制度の通訳兼コーディネーターとして日本に滞在したり、ホーチミン市で起業するなど、ユニークな経験を持つ彼女だが、20代後半にアートの世界に進む決心をしてホーチミン市美術大学の彫刻科に進んだ。

卒業後、美大生や若手のアーティストが作品を発表する機会が無い現状に一石を投じるため、自らのビジネススキルを生かしてアートカフェHimiko Visual Saloonを一昨年開いた。そこを昨年訪れたNIPAF代表の霜田誠二氏が「自分達の若い頃、こういう芸術家が集まるカフェが日本にもあった」と懐かしそうにホアンに語ったらしいが、この時の出会いが縁で彼女にパフォーマンスアーティストとしての道が開かれた。

霜田氏は以前にも現在ベトナム人女性パフォーマンスアーティストとして確固たる地位を築いているLy Hoang Lyを発掘したことで知られている。その当時Lyは詩人としては活躍していたが、パフォーマンスアートの世界とは無縁だった。Ly同様Hoangも彼女に隠されていたパフォーマーとしての情熱と才能を霜田氏との出会いで知ることとなった。Hoangは現在自分の活動と、独学でキューレーター的役割も自分のカフェを通して実践している。

そのHoangのカフェで7月12日から25日まで個展が開催中。
アーティストはHa Hung Dung。
夏休みでベトナム旅行される方もいるかもしれないので下記の詳細をご参考までに。

"Colour of Clay"
by Ha Hung Dung
Date : 7.12 -7.25.2007
The exhibition uses everyday products such as neenlaces, belts, bags to apply art.

Himiko visual café
88 Huynh Tinh Cua St, Ward.8, Dist.3, HCMC
( 60/2 Ly Chinh Thang St, Ward.8, Dist.3 , HCMC)

7/1/07

Frédéric François ChopinとDang Thai Son



最近ショパンが心に響くのでまたよく聴いている。そこでふと、世界的に有名なショパン国際コンクールで(音楽コンクールでは世界最古)初めてアジア人として1980年に第一位になったのが実はベトナム人ピアニストだということは案外知られていないのではないかと思いご紹介。彼の名前はダン・タイ・ソン(Dang Thai Son)1958年ハノイ生まれ。日本をはじめ世界各国で精力的に演奏活動をしている。ベトナムでは芸術と音楽の世界が非常に離れているので彼がベトナムの音楽界でどれくらい受け入れられているのか、演奏のチャンスがあるのかは私も把握しきれていない。コンサートやディスコグラフィー情報は彼の公式サイトから:www.dangthaison.net

6/25/07

ART遊覧/ARTiT

久々のベトナムアート情報です。
サイゴンベースのクリエーターグループMogas Station情報を「アート遊覧」のワールドリポートに書いております。ご覧ください。それからJun Nguyen-Hatsushibaのインタビューが次号のARTiTに掲載されます。彼の新しいプロジェクト情報など面白く仕上がっていますのでお買い求めいただけると嬉しいです。(7月中旬発売予定)

アート遊覧URL
www.art-yuran.jp

6/23/07

Gibran Khalil Gibran


哲学的詩集The Prophet(1926年出版)で有名なカリール・ジブラン(Gibran Khalil Gibran)。1884年にレバノンで生まれ、11歳の時にアメリカに移住した哲学的エッセイスト、詩人、小説家、そしてアーティスト。

しばらくその存在を忘れていたが、友人とのメールのやり取りで彼の名前が挙り、彼の思想への思いが久しぶりによみがえってきた。夢中になって読んだ時期がそういえばあった。今回日本滞在中、時間もいつもよりあるのでまた読んでみたいと思う。まだ彼の作品を手に取った事がない方には是非お薦め。(注意:精神的な世界ではありますが、宗教的とは違います。)

6/21/07

Happiness in Sevilla



昨年の夏Dream Collector Projectで一緒にお仕事をしたAlba Navas Salmeronから嬉しい結婚のニュースが届いたのでご報告。お相手は長年お付き合いをしていたドイツ人のTobias。サイゴンでのプロジェクト中、もう一人のA+A Public Art Unit愛友美さんのパートナーのクリスチャン同様、メールやスカイプでプロジェクトを技術面でサポートしてくださった素敵で頼もしい人である。お二人の末長い幸せを祈ってます! \(^ー^)/

6/16/07

Flirting with Freud via Adam Phillips


Tough Love...
最近アダム・フィリップスに答えを求めている...

http://www.salon.com/feb97/monogamy970219.html

6/9/07

癒されて...


現在帰国中。
お香のお席に参加させていただいた。「菖蒲香之記」
香元を除いて初対面の方ばかりだったけれど和やかなお席だった。
その後お香の席に参加なさっていた裏千家の方が薄茶をおもてなしくださったりと心落ち着く土曜日の午後。ここ1週間怒濤のような日々が続いていたので精神的にも体力的にもバテていた私には何よりのお薬となった。海外生活13年。やはり究極の癒し(もう死語なのかな?)は母国の文化にあり...。

5/29/07

新居探しはつづく...



NYに来て早2週間。何をしているかというと...毎日毎日不動産物件めぐり。ロマンチックにいうと、「新居探し」だけど、現実はパートナーが長年使ってきたスタジオが大家さんの都合で7月末までに出なければいけなくなり、仕事場兼住居を探す必要に迫られている。サイゴンでも私は仕事・リサーチがあるので小さなアパートを維持しているが、彼の仕事上NYを離れる事は現実味がないのでとりあえず落ち着き場所を探している。マンハッタンは離れたくない..大きなスペースが必要...自然光はたっぷりと注いで欲しいし、景色も重要だし..リクエストはふくれるばかり。笑。とりあえず有り難い事に物件数は豊富。私たちがいろいろと注文の多いお客なだけ。笑。いいところが見つかるといいけれど...

7年間のサイゴンでの生活のあとで(まだもちろん向こうに生活は残っていますが)マンハッタンのコンクリートの森は視覚的に非常に気持ちがいい。NYで発展させないといけないalbbプロジェクトもあるので悠長に不動産めぐりばかりはしていられない...早く決めて仕事に集中しなくては!!!

3/1/07

潤いの時間


3回も滞在を延期して結局1ヶ月丸々いてしまった。東京、横浜そして京都。潤いの時間だった。常夏の国に普段いると蛇口をひねって出た水が切るような冷たさだったり、冬の冷たい風に肌がさされる感じ. . . それだけで嬉しくなる。やはり哲学者は常夏の国から生まれないのが分かる気がする。冬の時間は考え事をするのにすごくいい。再会、はじめての出会い、両方含めて有意義な時間を多くのユニークな方達ともてた。今後の人生の展開を考えさせられる貴重な出会いもあった。お世話になった皆様、この場をかりてお礼を申し上げます!

1/15/07

Shall we detoxify in Saigon?


いい感じ。新年から2週間経過。今のところいい感じ。内蔵がきちんと体内におさまっている。でもそろそろ...の予感。

自分でいうのも何だけど、結構温厚な性格のほうだと思う。争い事は好まないし..ふふふ。

でもサイゴンに住んでいると、時折、内蔵が喉から全部でてしまうくらい怒りに震えて泣き叫びたくなる(もしくは実際にしてしまう)事がある。それだけある意味プリミティブなエネルギーのある街なんだろうけど、笑。

怒りを発散するのって体にいい事なんだろうか?精神衛生上も時にはあったほうがいいのだろうか?

頭よりも体に働きかける街サイゴン。まだいらした事のない方、今年こそ是非。流行のディトックスより効き目あるかも。だって、内蔵出ちゃいますから。丸洗いのいいチャンスです。笑

1/5/07

オーラオーラオーラ


スピリチュアルな話にするつもりはないけれど、ちょっとオーラのお話。

オーラの強い人にたまに会う。そうすると心が揺さぶられる。

「おー、この人なんかすごく強い悪いもの持ってるぅ...。距離置こっと..。」
とか
「あ、あやかりたい...このオーラ。すっ、素敵〜素敵〜!」

と思わせるものまで様々な種類の様々なレベルのオーラがある。

その人の実人生が幸せ(本人にとって)なものかどうか分からないしそれはnone of my business。でも「あ〜、この人は波瀾万丈なドラマが似合う人だなぁ。」とか「どう転んでも強運そう」とか「不幸が追ってくるタイプだ..。」とか直感で感じた印象は大抵あたっていたりするから面白い。

昨年のクリスマス前、(新年早々昨年の話ばかりですが、笑)アムステルダムからハノイ経由で来客があった。私がお世話になっているアート雑誌ARTiTの小崎哲哉編集長からのご紹介でアーティストの向井山朋子さんと3日間いろいろお話する機会があったのだ。

彼女のFor Youと題されたたった一人の観客の為にピアノを演奏するプロジェクトをご存知のかたも多いと思う。2005年の横浜トリエンナーレでは1枚のチケットがオークションにかけられて、幸運な日本人男性が2千人以上収容可能なみなとみないホール大ホールでの彼のためだけの演奏を聞くチャンスを獲得した。(オークション自体のアイディアはそもそも朋子さん本人のものではなく、横トリ側の提案だったそう。彼女は最初は ”チケットをお金で競り落とさせる事” には抵抗があったようだ。)

朋子さん...ここ数年お会いした人の中でもひと際オーラが強かった。個性が強い..、とかそういう感覚ではなくて(まぁ、たしかにスタイルを確立している方なので強い個性にはかわりないのだけれど、でも取っ付き難いタイプでは決してない。逆にすごくいきなり親近感を抱かせてくれる人なのだ)オーラが強いのだ。

滞在中は2008年を目指して計画中のプロジェクトのお話等で盛り上がった。内容はまだ控えておくけれど、実現したらとても面白いプロジェクトになると思う。

albbをはじめてからいろいろなアーティストの方に会う機会も多いけれど、彼女のような物腰はたおやかで、でもすごーく芸術家の体温が伝わってくる人は久しぶり。

心、揺さぶられた。

彼女の情報はこちらから:www.tomoko.nl
もう一つ多分お嬢さんが描いたものだと思うけれど素敵なイラストのサイトを発見:http://kaganof.com/kagablog/category/contributors/kiriko-tomoko-mukaiyama/

1/4/07

albb talks: Kim Huynh& Dr. Ashley Carruthers


昨年の話になるが12月はalbbトークが充実していたのでご報告。

まずカナダのカルガリー在住のベトナム系カナダ人アーティストKim Huynhがカナダにおけるアジアアートの現在について語った。(写真左部分上下)彼女自身の作品も含め、多くのアジア系カナダ人アーティストの作品をスライドを使って紹介してくれた。ベトナム系、中国系、日系、と様々なバックグラウンドを持つアーティスト達の作品の底辺に共通点があるとすれば殆どすべての作品が何かしらの形で“アイデンティティー”を追求している点。「移民系のアーティストは“アイデンティティー”ものを扱わないとメジャーになれないの?!?」という参加者からの素朴な疑問からディスカッションは盛り上がりをみせた。

そして日を改めて、次のトークはオーストラリアのキャンベラ大学でアンソロポロジーを教えるDr. Ashley Carruthers。(写真中央と右)彼の研究対象は海外移住したアジア人(ボートピープルとは限らない)の生態。その中でも流暢なベトナム語をいかしてベトナム系移民の研究に力を注いできた。今回のトークではベトナム系移民が抱くベトナムの今のイメージとベトナム(特にサイゴン)の現状とのギャップに焦点をあてた。アメリカ・カリフォルニア州にあるベトナム系アメリカ人が経営するフィルムプロダクションが海外在住ベトナム人向けに製作するテレビ番組を例にとって様々な事情で国を去った彼らの抱く“ノスタルジック”なベトナム(1975年前後)と高度経済成長期真っ只中にありネオンきらめくパーティータウン、サイゴンの現状を比較した。トークにはスピーカーの希望で多くの海外帰りで現在サイゴンで仕事をするベトナム系アメリカ人やオーストラリア人を多く招いたのだが、修士、博士号は当たり前の彼らの高学歴ぶりには改めて驚いた。異国で2世、3世として馬鹿にされずに生きていくにはやはり学歴が必然的に重視されている現状が浮き彫りになった。

1/2/07

一年の計は元旦にあり


新年が. . .明けた。おめでとうございます。日本にいた頃は祖母と住んでいた事もあり年末年始の伝統行事が身近だった。元旦はおとそを頂いて(お年玉もいただいて!)、新年の抱負を語ったりして、嫌が応にも気が引き締まった。

日本を出て12年。今年の元旦はひどい二日酔いで明け方に目を覚まし、朦朧としながら台所で昨晩の宴の山のような洗い物をしながらまだ終わっていないレポートに痛い頭を抱えていた。一年の計は元旦にあり...これが本当なら今年一年の事は...考えたくない。笑

友人で「二日酔いってなに?経験した事ない!」という人がいる。秘訣を聞くと「いつも酔っぱらってるから二日酔いになる暇がない。」—うーん、なるほど。その手があったか。笑

元旦スペシャルという事で昨晩一本残しておいたシャンペンを朝からいただく。お.い.し.い。なんか元気がでてきたぞ!

今年も良い一年になりますように...皆様にとって...