1/16/08

川口隆夫『グッド・ラック』


image: courtesy of Takao Kawaguchi

数年前、東京で現代美術をリサーチをしていた時に偶然知り合ったアーティストの川口隆夫氏から公演のお知らせが来た。

シンガポールのオン・ケン・センに会っていた夜にそのビデオアートの会場にいらしていて一緒に焼き肉屋に行った記憶がある。
いつかサイゴンにも来て頂きたいと思いつつ月日が経ってしまった。公演のお知らせをいただく度に気になっていた。日本にいない事が多かったので未だにライブパフォーマンスを拝見した事がないのが残念。送って頂いたDVDで拝見した作品は力強くて私の心を惹いた。なんとも言えない絶妙な湿度のあるパフォーマンス。ダンスパフォーマンス以外でもDerek JarmanのChroma:A Book of Colorの翻訳を手がけるなど多才な方。だいぶ前になるが、DVDを拝見した後でパフォーマンスに関する質問を幾つかメールした際には非常に丁寧に回答してくださったのが印象として残っている。

その川口氏のパフォーマンスが川崎市アートセンター アルテリオ小劇場で今週18日、19日開催される。
詳細は下記参照:

川口隆夫ソロダンスパフォーマンス
『グッド・ラック』

2008年1月18日(金)20:00 / 19日(土) 16:00
会場: 川崎市アートセンター アルテリオ小劇場 
(小田急線新百合ヶ丘駅北口より徒歩3分。新宿からわずか20分ちょっと!)
チケット 全席自由・前売・税込 \2000/当日\2500
問合せTel 044 955 0107 http://kawasaki-ac.jp

川口隆夫ウエブサイト http://www.kawaguchitakao.com

人々は去ってしまった
もう誰もいない
私はひとり、やり残したことをするために残った

このテキストで始まる『グッド・ラック』は、昨年10月に出演した指輪ホテルの作品『エクスチェンジ』(演出 羊屋白玉)の、僕のソロシーン<グッド・ラック!>を出発点に始まった、指輪ホテルのプロデュースによる、ソロダンスパフォーマンスです。

ベルギー出身の映画サウンドデザイナー、ダヴィッド・ヴランケン(河瀬直美監督作品・2007年カンヌ映画祭グランプリ受賞作品『殯の森』のサウンドを担当)との1ヶ月以上にわたる<音とダンス>の協働作業を機軸にクリエーションされたこの作品は、「私的な日常の細部には世界の諸相が映りこむ」をテーマのもと、僕の個人的な体験を元に構成されています。

「映画のようなダンスが作りたい」を合言葉に、ダンス、サウンド、照明、映像、美術、そして衣装のアーティストたちが、それぞれに異なる映画観を持ち寄り、これまで経験のない新しい手法で独自のアプローチを試みようという、実験的な作品です。

これまでとはまた違った新しい川口隆夫ワールドを、ぜひご体験ください。この作品についてのインタビューが、今週末、川崎市アートセンターのホームページにアップされます。(http://kawasaki-ac.jp/)

振付・演出・出演 川口隆夫  
サウンド ダヴィッド・ヴランケン 
照明 中山奈美
舞台監督・美術 本原章一
美術 田中真聡
衣装 北村教子
映像 城戸晃一
音響 鏑木知宏
ウエブデザイン 小原大貴、野口久美子
協力  高野諭、伊藤馨、田島誠治 SoundGimmick
BABY-Q Lab、シネマトリックス、カラーキネティクス・ジャパン株式会社

主催 川崎市アートセンター
後援 「しんゆり・芸術のまち」PR委員会
制作 指輪ホテル、川口隆夫
指輪ホテル アーティスティックディレクター 羊屋白玉
指輪ホテル マネージングディレクター 佐藤道元
http://www.yubiwahotel.com/index02/index.html

*指輪ホテルEXCHANGE _autotype シリーズのその2では、2008年2月にユン・ミョンフィがソロダンス『外出』を発表する。
http://www.o-yh.com/yun

会場の川崎市アートセンター・アルテリオ小劇場は、小田急線の新百合ヶ丘駅の近くにあります。新宿から急行で27分(快速急行で23分)で、北口から徒歩3分。昨年10月にオープンしたばかりの新しい劇場です。駅前の坂道を下りてくると正面に堂々と見える白い、正面が総ガラス張りの建物です。

1/10/08

Danh Vo


image: courtesy of Isabella Bortolozzi Gallery

Jun Nguyen-Hatsushiba, Dinh Q. Leといえば大型国際展で常連の“ベトナム系アーティスト。私も個人的に交友がある。そして最近気になっているのが、デンマーク国籍のDanh Vo。彼の名前を最初に聞いたのは昨年の夏のIsabella Bortolozzi Galleryでの彼の個展レビューを読んだとき。残念ながらまだ面識はない。彼のストーリー性の非常に強い作品には好き嫌いがあると思うが、「読書する」感覚で楽しめる作品だと思う。ベトナム系アーティストの作品を一括りで語ってはいけないが、やはりアイデンティティーや難民としての体験(注意:上記アーティストの中で、Nguyen-Hatsushibaは難民ではない。)を軸にしている作品が多いので作品にまつわる「ストーリー」のほうが作品のビジュアルよりも勝っていることが多々ある。

そのDanh Voがthe 2007 blauorange art prizeの受賞者として1月20日まで個展を開催している。ドイツ方面にお出かけ、またはお住まいの方はどうぞ:

Danh Vo, 'Untitled'
24 November 2007 - 20 January 2008,
Tuesday - Sunday 12 - 6:00 p.m.


Brandenburgischer Kunstverein (BKV) Potsdam e. V.
Brandenburger Str. 5 / Luisenforum
14467 Potsdam, Germany

http://www.blauorange.bvr.de

http://www.art-in.de/incmeldung.php?id=1534

1/7/08

Happy New Year 2008


謹賀新年!

お天気も良く、爽やかな気持ちで迎えた新年。
昨年は思い起こせば学ぶ事の多い一年。転換期。
多くの方々に助けられて無事に一年を終えることができた。
お世話になった皆様、いろいろありがとうございました。
\(^—^)/

昨年後半からすっかり健康オタクな私。体の歪みはすべてを狂わす?!?(笑)と思い、時間があれば整体、バレエストレッチ等にはまってる。お散歩も楽しい。

昨年は解毒の年。
そして今年は良いものを厳選して見て、食べて、聞いて、読んで...どんどん取り入れて行きたいと思う。

皆様、本年もどうぞ宜しくご指導くださいませ!

12/11/07

Yuan Goang-Ming個展in台北


何かとお世話になっている台湾在住のアートライター岩切みおさんのご主人さま、袁廣鳴(Yuan Goang-Ming)氏の個展が今月15日から台北のIT PARKではじまる。台湾のビデオアーオの先駆者として知られる同氏の作品は光州ビエンナーレなどで拝見した事があるが、私はとても好きだった。今回は残念ながら台湾に行けそうにもないが、もし行くご予定のある方は是非!

Solo Exhibition by Yuan Goang-Ming
Disappearing Landscape
15 December 2007~ 12 January 2008
Opening Reception: 7:00pm, Sat., 15 December 2007

Yuan Goang-ming will present his new series Disappearing Landscape in his solo exhibition at IT Park, breaking his silence since the City Disqualified series in 2002. In this new work, a concept of removal has been adopted again, and transformed into a more poetic concept of disappearing. The presently disappearing landscape not only indicates natural scenery being lost, but also involves imagined scenery and how we identify things.

Disappearing Landscape is not a narrative, but brings up an embarrassing state of presence that exposes an ambiguous relationship between 'illusion' and what we call 'truth'. The work not only disguises a profound reality that is disappearing, but at the same time is covertly reflecting a profound reality.

This series consist of digital images and a multi-channel video installation. The video installation is a synchronizing projection with three screens, with each part filmed simultaneously by three cameras that move straight ahead. The lens passes through the artist's home, neighboring abandoned houses, a forest and a city shot from a low angle.

The digital imagery shows that Yuan painstakingly removed all the veins from scanned images of leaves via computer manipulation. While the rhizomes and branches remain, the artist creates scenery that is homogeneous, complex, familiar, yet unfamiliar. Every leaf links to a rhizome and to a branch, but it has no vein on its surface--- it is as if the leaf has no distinct face while it seems to be surely originating from somewhere. Does a leaf have a reason to be a leaf? How is it defined as a leaf, just like how are we identified as individuals, by our surface features, or by something deeper? This strange scenery is still, only disappearing.

Location: IT PARK
Gallery Hours: Tue. ~ Sat., 1:00pm ~ 10:00pm
41. 2/3fl. I-Tong St, Taipei, Taiwan.
tel: 886-2-25077243
fax: 886-2-25071149

12/4/07

キュレーターNguyen Nhu Huy




9月20日から11月11にかけてサイゴンで開催された「Art in Marathon」プロジェクトのレポートをアート遊覧で閲覧可能:
http://www.art-yuran.jp/2007/12/post_8783.html#more

長年の仕事仲間でもあるアーティスト/美術評論家のNguyen Nhu Huy(グエン・ニュー・フイ)がキュレーターとして最近活動をはじめた。その様子をレポート。

10/31/07

Katrin Paul 「Are you in line?」



Katrin Paulのサイゴンでの個展「Are you in line?」のレビューがリニューアルした季刊誌ARTiTのウェブサイトで閲覧できます:

http://www.art-it.jp/review_detail.php?id=27

10/22/07

「善きひとのためのソナタ( Das Leben der Anderen)」



「善きひとのためのソナタ( Das Leben der Anderen)」は2006年製作のドイツ映画。

ベルリンの壁崩壊約5年前の東ドイツを舞台にストーリーは始まる。強固な共産主義体制の中枢を担っていたシュタージの実態を暴き、彼らに翻ろうされた芸術家たちの苦悩を浮き彫りにした作品。監督フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクが歴史学者や目撃者への取材を経て作品を完成。第79回アカデミー賞外国語映画賞受賞作品。

旧東ドイツの共産主義の監視体制を克明につづった作品としての面白さももちろんあったが、それ以上にそこにある人間の心の動きに心を打たれた。現在でも共産主義体制のベトナムに関わる者として、監視下のもとで創作を続ける芸術家たちの心情は他人事ではない。

話は若干それるが、つい先日久しぶりに吉本ばなな(注意:現在は全部ひらがなの“よしもとばなな”がペンネーム)の鮮烈なデビュー作「Kitchen」(1987)を読み直す機会があった。その中で登場人物の一人、えり子さんが主人公のみかげに自分の生き方を語るシーンがある。

<以下「Kitchen」より抜粋>
「いろいろ、苦労があるのね。」
 感動して私(みかげ)が言うと、
「まあね、でも人生は本当にいっぺん絶望しないと、そこで本当に捨てらんないのは自分のどこなのかをわかんないと、本当に楽しいことが何かわかんないうちに大っきくなっちゃうと思うの。私は、よかったわ。」 
 と彼女は言った。

シチュエーションも何もかも違うけれど、「善き人のためのソナタ」の主人公ヴィスラー大尉が変わっていく様を見ながら妙にこのえり子さんの言葉<人生は本当にいっぺん絶望しないと、そこで本当に捨てらんないのは自分のどこなのかをわかんない…私は、よかったわ。>を考えていた自分がいた。

ヴィスラー大尉が毎日盗聴を続けていく過程で、ドライマンとクリスタの人間らしい自由な思想、芸術、愛に溢れた生活に影響を受け、冷徹なはずの彼の内面に変化が生じ始める。あるとき盗聴器から流れてきた美しいピアノの音色―それは、ドライマンが友人から「この曲を本気で聴いた者は、悪人になれない」という言葉と共に贈られた、“善き人のためのソナタ”という曲だった―を聞いたことを境に彼の中に生まれた感情はより人間らしい人間としての目覚めだったとも思うし、やはり彼ら(=他人)に対する尊厳や愛が生まれたのだと思う。この愛を考えたときにまたまた浮かんだのは吉本氏の「うたかた」の一節。

<以下「うたかた」から抜粋>
人を好きになることは本当にかなしい。かなしさのあまり、その他のいろんなかなしいことまで知ってしまう。果てがない。…(以下省略)

最終的には心地よい終わりの映画だが、ヴィスラーがそのソナタを聴いて心揺すぶられ、彼の選んだ行動をとり、その行動が何を意味したのかを知るまでには、果てしないかなしみや虚無感があったと思う。
最後にクリスタの語った言葉も印象的だった。

お薦めの一作品。