10/31/06

a little blah blah先週のトーク報告


先週はa little blah blahで2つトークがあった。

一つ目はオーストラリア・アデレード市でthe Contemporary Art Centre of South Australiaのディレクターを務めるAlan Cruickshankをゲストスピーカーに迎えた。CONTEMPORARY ART+CULTURE magazine broadsheetの編集長兼発行人でもある彼を囲んでサイゴンのアートライターやアートに関わらず文筆業に関わる人を招待してのカジュアルディナー・ディスカッション。

2つ目は「ビエナーレ・トーク」と題してスーがシドニー・ビエナーレ、私が韓国・光州ビエナーレ、そしてゲストスピーカーとしてシンガポール・ビエナーレにMogas Stationというアーティスト集団として参加したWonderful District のSandrine Llouquetがシンガポールビエナーレ全般と彼らのプロジェクトを紹介した。Mogas StationからはRich Streitmatter-Tran とGulschan Gothelもトークに参加。若いアーティストや学生を招いてビエナーレを直接観る機会の無かった彼らに私達が撮り集めてきた作品写真をパワーポイント(スライドショー)で見せながらベトナムの外でどんなアートシーンが展開されているかを紹介するのが目的。

来週末には我々のカタログ/アートブックコレクションを地元アートコミュニティーに(特に若いアーティストや学生を対象)公開するalbb READING ROOMも本格的にスタートする。現在コレクションは800冊以上。ベトナムにいらっしゃるアート関係者の皆様、カタログ等もし我々のライブラリーコレクションご寄贈いただけるものがありましたら感謝感激です!!宜しくお願いします!!

10/25/06

災難よ、サヨウナラ




腰の事を書いたら思いがけず多くの方からお見舞いメールをいただいた。ありがとうございます!おかげさまで痛みも峠を越えて今は座る時は気をつけているものの正常な生活に復活。数々の災難も家の水回りの工事や大掃除をしたら運気が変わったようでその後は大きな問題もなし。家の整理整頓が運気に影響するってまんざら嘘でもないかも...と思う今日このごろ。

さて、先週末久々に携帯もインターネットも封印して 南の島フー・コックでロング・ウィーケンドを過ごしてきた。サイゴンのタンソンニャット空港から1時間、往復航空運賃66ドルでいけるベトナム最南端の楽園の島。ここはかつてはカンボジアが自分たちの領土だと言い張ってベトナムと争っていたところで、島の北部には今でもカンボジアの侵攻に備えてベトナム軍隊の基地がある。(今はカンボジアの軍隊が昔ほどのパワーを持っていないので沈静化しているが問題は解決したわけではない。基地は現在は主に軍隊のトレーニングに使われているらしい)ヌック・マムや真珠の養殖でも有名なところ。ちなみに政府が作ったフーコック島地図を見ると4つのゴルフ・コースとカジノが載っているがそれらは一切存在しない。島のイメージアップ、投資、観光業促進を目的にやったことだろうけど、そんなにすぐバレる嘘ついて(それも印刷して)どうするんだろう(笑)

フィリップの10年来の友達が昔友人達がホリデーに使えるようにと建てたバンガローが今では数が増えてホテルとして一般に開放されている。マンゴー・ベイという名前。広大な敷地にベーシックなバンガローが並ぶ。水シャワーしかなかったり(お部屋によっては温水有り)、電話もテレビもインターネットももちろんない。ひたすらあるのは海と緑と青い空。そして美味しい魚介類。

メールと携帯の奴隷的日々を過ごす日常から解き放たれて、泳いでは食べ、泳いでは寝て、ストレスが心身から流れ出て行くのを実感。エネルギーが湧いてくるのがわかる。これってどんなに素敵なスパでも体験できない自然の力だけがくれるエネルギー。心配していた腰の痛みもあまりなく、エネルギー充電できた。これでまたしばらくは走っていられそう!災難ともおさらばだぁ!

さて、滞在中に「さすがベトナム人の発想力!」と感激したのが写真のこれ。
これはパンケーキを注文したら一緒にでてきたチョコレートクリーム。美味しい。ヌテラというチョコレートのブランドをご存知だろうか?あれに似た舌触り。味はヌテラからナッツのフレーバーを抜いた感じ。ただのチョコレートを溶かしたのよりはなんと言うか不思議な弾力がある。あとでオーナーのローソンが合流したので秘密を聞いてみたらなんとベトナム人のスタッフの発案らしい。なんと牛乳と混ぜて飲むミロ(“良い子の飲み物”として宣伝されてた記憶が...)のあの粉末と練乳を混ぜて作ったものらしい。このレシピだけ聞くと美味しさを想像するのは難しいかもしれないけど、チョコレートクリームにはちとウルサイ私たちが納得したお味。お試しあれ!?!

10/24/06

a little blah blah (albb) ブログご紹介






「ねぇ、サイゴンで一体何やってんの?」と頻繁に聞かれる。(笑)
雑誌にアート関連の記事を書く以外には、オーストラリア人アーティストのスー・ハイドゥと一緒にアーティスト・イニシアティブa little blah blahを運営している。アートエキジビションやトークイベントのキューレーションが主なお仕事。
ブログをアップデートしたばかりなのでご報告がてらご紹介(英語サイト・写真沢山有):
http://albbsaigon.blogspot.com

10/13/06

災難よ、ありがとう

腰痛もちの友人や知人が数人いる。どこからか仕入れてきた雑学をおせっかいにもメールしたり、整体師を紹介したりとそれなりに協力してきたつもりだったが、本当に彼らの痛みや苦しみを共有していたわけではないと改めて気づかされた。言葉は悪いが、所詮人ごとだった...4日前までは、、、。

4日前。朝起きようと思ったら腰に激痛が走った。正確にいうと、尾骨、その昔尻尾だったところである。別に転んだわけでもなく。過去に大きな事故に会った記憶もなく(突然昔の傷が痛みだすことがあるときいた事があったので)、思いつく事といえば職業がらコンピューターの前で物書きをしている事が多いので同じ姿勢で長時間座っていた事くらい。でもこれだって今に始まったわけではなく、長年の事でなんで今更突然?!?

カユミや痛みに非常に弱い私。普段蚊に刺されては騒ぎ、家具の角に足の小指をぶつけてはフィリップが駆けつけてくれるまでヒックリかえって死んだフリをする私。(たんに甘えてるだけか、おバカ、笑)でも本当の痛みの時は非常に静か〜になる。言葉がでないくらい痛いというか、汗がにじみ出てくるというか、<こ、これが痛みというものか...>と妙に感心しているというか...

その異様な静けさと微動だにともしない私に気づいたフィリップ。これは一大事と思ったらしい。また病院に運ばれた。タクシーに乗り降りする時に火山のマグマが轟くような唸り声を発してしまい運転手が怖がっていた。

仲良しの病院のイスラエル人の院長。「おっ、最近よく来るねぇ。メンバーシップカードをあげよう!」とか言いながら自分のジョークが可笑しかったらしくて笑っている。「君(フリップを指差しながら)といるからカンガルーの尻尾がはえてくるんだよ、きっと。はっ、はっ、はっ(注:フィリップがオーストラリア人だから)」くだらない冗談で独り暴走してる。ちょっとウケて笑ったらその笑いが振動となって尾骨に響く。
(注:ちなみにこの先生の冗談のレベルはひどいものですが、非常に優秀な心温かい先生です。)

レントゲンをとったが、骨の異常は認められない。先生いわく、「実はこの症状で来院する女性患者の7割はストレスが原因なんですよ。あなたの場合もきっとその可能性が強いですね。病院としてはあまり出来る事はありません。」

「えっ?!ストレス...?!?」
私ってそんなに繊細な神経の持ち主だったの?!?でもそういえば最近、幾つか気になる事があるといえばある。というか、「気に“いらない”事」がある。自分が繊細だと突然告知されて自分が急に愛おしく思えてきて診察室で目を閉じて両腕で自分をグッとハグしてみるが、怖くなってやめた。笑。

一応痛み止めのお薬をいただいて飲んでみた。普段薬は滅多に飲まないので即、効いた。
痛みは鈍く残っているものの頭がなんだかパンパカパーンとファンファーレ状態で妙に楽しくなってきた。「これって、一種の(合法)ドラッグ?!?」—————可能性はある。お医者様が処方する薬の中にはきちんと量が計算されている+患者にはそれを飲む正当な理由があるというだけで中にはいわゆるレクリエーショナル・ドラッグとして使用されるものが入っている事が多い。あまりにハイになっている自分が怖くなって服用をやめた。

立っているほうが楽なので、今は基本的には家の中をソローッ、ソローッと歩き回っているかもしくはフィリップお手製「尾骨が直接イスにあたらないドーナツ型クッション」に座って仕事をしている。痔の人が使うような形のクッションである。ちょっと恥ずかしい。でも痛みには変えられない。随分楽になった。

昨日は2階のシャワールームの水道管が破裂して今一階の壁は滝のように水がしたたっている。最近災難続き。あっ、今気づいた。今日は13日の金曜日でもある。笑

災難が続く時は怒ったり悪い言葉を吐くとチェーン・リアクションでさらに悪い事が続くらしい。だからそれを断ち切るために何が起きてもとりあえず「ありがとう」と言ってみるといいらしい。良いといわれたことは何でも試してみる私。水浸しの壁をみては「はい、ありがとう」メイドさんがうっかり落としたミルクのパックでミルク浸しになっても「はい、はい、ありがとう」と言っているので一部の人間から「最近モトコは仏のようになった。」と言われている。笑 

まっ、邪心だらけで仏からはほど遠いが、でもたしかにこの「ありがとう」は効果あり。腹がたたない。これでストレスも(もし本当にストレスが原因ならの話だけど)解消されて腰もよくなるかな〜。考えが甘いかな〜。笑

10/4/06

SHINOBU個展 オープニングを迎えて


先日ご報告した日本人造形作家SHINOBUの個展がオープニングを迎えた。強い雨が降る中始まったオープニング。私も雨でなかなかタクシーが来なくて遅れて到着した。それでも雨の中多くの人が集まって彼女の作品を楽しんだ。彼女に出会ったのはサイゴンに住む共通の友人の紹介。その時彼女のポトフォリオをみせてもらって、まだ荒削りながらもなんだか不思議なエネルギーを感じた。その後しばらくして彼女からベトナムで作品を発表したいという気持ちを伝えられ、それでは微力ながらもお手伝いしましょうという事で今回の個展に至った。彼女はどちらかというと職人気質のタイプ。コンセプトを言葉で語るよりもその時間手を動かして作品を生みたい人。私はどちらかというと頭でコンセプトを練ったり表現したい事を言葉にしてみるのが好きな性格。彼女は私の想像以上にインディペンデントで当初思っていたよりも私がキューレーターとしてしなければいけない事は少なかったけれども、彼女の作品に込められた思いを言葉に変えてあげる、という形で少しは協力できたかな...と思う。SHINOBUさんにはこれからも力のある作品を生み続けてもらいたい。

今年はA+A Public Art Unitのドリーム・コレクターも、SHINOBUさんの個展もどちらも「共通の友人」がいた事がきかっけになって生まれたプロジェクト。それだけでなくて、いろいろ振り返ってみると、例えば日本のアート雑誌に記事を書かせてもらえるようになったのも最初のきかっけを作ってくれた先輩ライターのおかげだし(みおさん、ありがとうございます!)、人との縁はやっぱり不思議でそして大切にしたいものだと改めて感じた。

Hoang Duong Cam個展「Fat-free Museum」










報告がちょっと遅くなりましたが、友人の個展がまだ開催中なのでご紹介。

アート市場という観点からいえば急激な成長をみせるベトナムコンテンポラリーアート。欠けているものがあるとすれば上等なユーモアや皮肉のセンスだろう。画家としてすでに知名度のあるカムが今回選んだのはデジタルカメラ。2005年のNY滞在時に毎日のように通ったメトロポリタン美術館の巨匠達の作品を写真に収め、彼は自分とその作品達に関連をつけていく。例えばメトロポリタン美術館の屋上にNYの摩天楼を背景に設置されたソーレ・ウィットの彫刻を撮った写真に彼は1966年のベトナム兵の彫刻のイメージをフォトショップで加工する。まるでレウィットの作品やNYの街を脅かす何者かに立ち向かうように銃をかざすベトナム兵の姿はベトナム戦争時の敵国をまるで守っているかのようで思わずその皮肉に笑わずにはいられない。 真面目なテーマやロマンティシズムに走る作風が悪いと否定するわけではないが、ホアン・ズーン・カムの新作にピリッと効いたユーモアに、そしてそれを評価するアートコミュニティーを見た時に新しい世代が台頭しはじめた事を感じた。

ホアン・ズーン・カム個展 「ファットフリー・ミュージアム」
Hoang Duong Cam: Fat-free Museum
9月14日〜10月15日
ギャラリィー・クイン
www.galeriequynh.com

写真キャプション:
左)ホアン・ズーン・カム、花の側...、2006
右)ホアン・ズーン・カム、攻撃—彫刻—保護、2006