10/13/06

災難よ、ありがとう

腰痛もちの友人や知人が数人いる。どこからか仕入れてきた雑学をおせっかいにもメールしたり、整体師を紹介したりとそれなりに協力してきたつもりだったが、本当に彼らの痛みや苦しみを共有していたわけではないと改めて気づかされた。言葉は悪いが、所詮人ごとだった...4日前までは、、、。

4日前。朝起きようと思ったら腰に激痛が走った。正確にいうと、尾骨、その昔尻尾だったところである。別に転んだわけでもなく。過去に大きな事故に会った記憶もなく(突然昔の傷が痛みだすことがあるときいた事があったので)、思いつく事といえば職業がらコンピューターの前で物書きをしている事が多いので同じ姿勢で長時間座っていた事くらい。でもこれだって今に始まったわけではなく、長年の事でなんで今更突然?!?

カユミや痛みに非常に弱い私。普段蚊に刺されては騒ぎ、家具の角に足の小指をぶつけてはフィリップが駆けつけてくれるまでヒックリかえって死んだフリをする私。(たんに甘えてるだけか、おバカ、笑)でも本当の痛みの時は非常に静か〜になる。言葉がでないくらい痛いというか、汗がにじみ出てくるというか、<こ、これが痛みというものか...>と妙に感心しているというか...

その異様な静けさと微動だにともしない私に気づいたフィリップ。これは一大事と思ったらしい。また病院に運ばれた。タクシーに乗り降りする時に火山のマグマが轟くような唸り声を発してしまい運転手が怖がっていた。

仲良しの病院のイスラエル人の院長。「おっ、最近よく来るねぇ。メンバーシップカードをあげよう!」とか言いながら自分のジョークが可笑しかったらしくて笑っている。「君(フリップを指差しながら)といるからカンガルーの尻尾がはえてくるんだよ、きっと。はっ、はっ、はっ(注:フィリップがオーストラリア人だから)」くだらない冗談で独り暴走してる。ちょっとウケて笑ったらその笑いが振動となって尾骨に響く。
(注:ちなみにこの先生の冗談のレベルはひどいものですが、非常に優秀な心温かい先生です。)

レントゲンをとったが、骨の異常は認められない。先生いわく、「実はこの症状で来院する女性患者の7割はストレスが原因なんですよ。あなたの場合もきっとその可能性が強いですね。病院としてはあまり出来る事はありません。」

「えっ?!ストレス...?!?」
私ってそんなに繊細な神経の持ち主だったの?!?でもそういえば最近、幾つか気になる事があるといえばある。というか、「気に“いらない”事」がある。自分が繊細だと突然告知されて自分が急に愛おしく思えてきて診察室で目を閉じて両腕で自分をグッとハグしてみるが、怖くなってやめた。笑。

一応痛み止めのお薬をいただいて飲んでみた。普段薬は滅多に飲まないので即、効いた。
痛みは鈍く残っているものの頭がなんだかパンパカパーンとファンファーレ状態で妙に楽しくなってきた。「これって、一種の(合法)ドラッグ?!?」—————可能性はある。お医者様が処方する薬の中にはきちんと量が計算されている+患者にはそれを飲む正当な理由があるというだけで中にはいわゆるレクリエーショナル・ドラッグとして使用されるものが入っている事が多い。あまりにハイになっている自分が怖くなって服用をやめた。

立っているほうが楽なので、今は基本的には家の中をソローッ、ソローッと歩き回っているかもしくはフィリップお手製「尾骨が直接イスにあたらないドーナツ型クッション」に座って仕事をしている。痔の人が使うような形のクッションである。ちょっと恥ずかしい。でも痛みには変えられない。随分楽になった。

昨日は2階のシャワールームの水道管が破裂して今一階の壁は滝のように水がしたたっている。最近災難続き。あっ、今気づいた。今日は13日の金曜日でもある。笑

災難が続く時は怒ったり悪い言葉を吐くとチェーン・リアクションでさらに悪い事が続くらしい。だからそれを断ち切るために何が起きてもとりあえず「ありがとう」と言ってみるといいらしい。良いといわれたことは何でも試してみる私。水浸しの壁をみては「はい、ありがとう」メイドさんがうっかり落としたミルクのパックでミルク浸しになっても「はい、はい、ありがとう」と言っているので一部の人間から「最近モトコは仏のようになった。」と言われている。笑 

まっ、邪心だらけで仏からはほど遠いが、でもたしかにこの「ありがとう」は効果あり。腹がたたない。これでストレスも(もし本当にストレスが原因ならの話だけど)解消されて腰もよくなるかな〜。考えが甘いかな〜。笑