10/4/06

Hoang Duong Cam個展「Fat-free Museum」










報告がちょっと遅くなりましたが、友人の個展がまだ開催中なのでご紹介。

アート市場という観点からいえば急激な成長をみせるベトナムコンテンポラリーアート。欠けているものがあるとすれば上等なユーモアや皮肉のセンスだろう。画家としてすでに知名度のあるカムが今回選んだのはデジタルカメラ。2005年のNY滞在時に毎日のように通ったメトロポリタン美術館の巨匠達の作品を写真に収め、彼は自分とその作品達に関連をつけていく。例えばメトロポリタン美術館の屋上にNYの摩天楼を背景に設置されたソーレ・ウィットの彫刻を撮った写真に彼は1966年のベトナム兵の彫刻のイメージをフォトショップで加工する。まるでレウィットの作品やNYの街を脅かす何者かに立ち向かうように銃をかざすベトナム兵の姿はベトナム戦争時の敵国をまるで守っているかのようで思わずその皮肉に笑わずにはいられない。 真面目なテーマやロマンティシズムに走る作風が悪いと否定するわけではないが、ホアン・ズーン・カムの新作にピリッと効いたユーモアに、そしてそれを評価するアートコミュニティーを見た時に新しい世代が台頭しはじめた事を感じた。

ホアン・ズーン・カム個展 「ファットフリー・ミュージアム」
Hoang Duong Cam: Fat-free Museum
9月14日〜10月15日
ギャラリィー・クイン
www.galeriequynh.com

写真キャプション:
左)ホアン・ズーン・カム、花の側...、2006
右)ホアン・ズーン・カム、攻撃—彫刻—保護、2006