8/28/06

「The Dream Collector」最終インスタレーション by A+A Public Art Unit


7月に始まったドリーム・コレクタープロジェクト。ついに先週の土曜日最終日を迎えた。プロジェクトの内容は以前に紹介したので今回はこの最終インスタレーションに行き着くまでの長い道のりをご報告。

再三このブログでも愚痴っているが、ベトナムでは文化イベントには文化情報省からの許可証が必要になる。でもその許可証を申請するには展覧会場から一筆もらわなければいけない。アートイベントに慣れているところは問題なく一筆書いてくれるが、経験のない会場だと、「許可証をみせてもらわないと書けません!」と言ってくる。(だからぁ〜、許可証もらうためにあなたからの一筆が必要なのぉ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!)

展示さえできれば会場の詳細はあまり関係ないプロジェクトの場合は適当に会場をおさえて早めに許可証を申請しておく事は可能だが、今回のプロジェクトのように最終的なプロジェクト参加者数や展示スタイルがギリギリまでわからない場合は事前申請は不可能。また申請時には展示作品すべての詳細と写真が必要で(検閲用)進行とともに作品を生み出すプロジェクトの場合はギリギリまで作品ができあがらないので無理!

その他いろいろ問題はあるのだが、今回はジャパンフェスティバルのオフィスからのレターがあったのでスムーズに進行するはず!とほくそ笑んでいたのも束の間、結局申請する事はスケジュール的に無理と判断。

そこで視点を切り替えて、プライベートパーティーという事で話を進める事に。前回中間報告で紹介したサイゴン中心部の病院は最後まですごく協力的だったものの最終的に院長の「プライベートパーティーならば文化情報省からの許可はいりませんけど、でも病院敷地内でのイベントになるので保健衛生省からの許可が必要ですね。」の一言であっさりおしまい。院長にこぎつくまでのプロセス2週間。結局時間の関係でこちらも断念。

こうなったらもう駄目もとでもう一件、政府関係の建物にトライしようじゃないか!という事で「労働文化センターのテニスコートを一日貸し切る計画!!」に変更。周囲からは「許可証なしでは絶対無理無理!」と太鼓判(?!)を押されてのスタート。最初は断られたものの、ねばりにねばった結果賃貸料を払う事でOKになった!アシスタントのトー・ランの交渉力によるところ大!ありがとうトーラン!!!OKはもらって賃貸料のデポジットをおさめたものの、やはり直前シャットダウンという事もありえるなぁ...と心配して当日まで何度も悪夢にうなされた。

そして迎えたインスタレーション当日。朝7時半テニスコート集合。沢山の美術大学の生徒達が手伝いに来てくれて5時間を予定していたインスタレーションは約3時間半で終了。訪越中だったアーティストの一人松坂愛友美さんのご両親が差し入れてくださったおにぎりにボランティアスタッフ一同舌鼓をうつ。午後1時の開場を前に事前に交渉しておいたサトウキビジュースとベトナム風サンドイッチの屋台も到着。愛友美さんとアルバはベトナムの市場でみかけるベトナム人女性がよく着ているパジャマを着てお客様にジュースやサンドイッチをふるまった。

驚くべき事に雨季なのに関わらず一日中晴天に恵まれた。午後1時から5時までのパーティーの間プロジェクト参加者をはじめ多くの方にご足労いただいた。通常自分のかかわっている展覧会のオープニングって案外忙しかったりして心底楽しめなかったりするのに、今回はすごく楽しい土曜日の午後となった。

一夜あけた昨日、スタッフの皆と最後のランチを一緒にして午後の便でアルバはヨーロッパに戻っていった。愛友美さんは9月7日に帰国予定。二人が最後に空港で涙を流しているのをみて一つのプロジェクトが終わったのだなぁ、と感慨深かった。

プロジェクトは一先ず終了したとはいえ、まだカタログ製作が残っている。9月末にカタログ完成予定。乞うご期待!

今回はジャパンフェスティバルの殆どのイベントがハノイだったために我々のプロジェクトがその一環だった感じが薄いのだが、それでもいろいろとレターの作成等でお世話になったジャパンフェスティバル2006実行委員会事務局長の青柳陽一郎さまそしてその他関係者の皆様、大変お世話になりました。ありがとうございました!

8/15/06

ドリーム・コレクター経過報告


7月にスタートしたドリーム・コレクター。40人の参加者を迎えてプロジェクトも残すところ2週間となった。街中のカフェや夕方運動をしに人が集まる公園で参加者を募り、彼らの家に出向きベットシーツを配布。そして一週間後に再会し、その間に参加者がシーツを使って寝た時にみた夢の話をきっかけに対話をはじめる。はじめは他人だったアーティストと参加者が、ベットシーツ配布時には知り合いとして会い、そしてミーティングを通して友達になっていく。言葉の全く通じないケースもあるが一つ一つバリアーをクリアーしていく。こうして集められたサイゴンローカルの言葉は一つ一つ刺繍としてひとまず回収されたベットシーツに施され、40枚のシーツを使ったインスタレーションが26日(土曜日)中心部の病院内にある敷地の並木道をつかって発表される。そしてインスタレーション終了後刺繍のほどこされたベットシーツは参加者に返却される。 松坂愛友美とアルバ・ナバス・サルメロンという2人のそれぞれ個々の活動も活発なアーティストがチームを組んでプロジェクトをする場合はやはりアーティスト間での相違があって当然である。その2人が話し合って1つのものを作り上げていく課程も興味深い。プロジェクトのディテールは9月にカタログにまとめる。8月10日ホーチミン市にあるオーストラリアの大学RMITにてトークも行った。9月6日はベトナム・日本人材協力センター(VJCC)でもトーク+ディスカッションを予定している。

空白を埋めるブログ

私は雑誌でも、アートのカタログでも、友達のブログでも手にした「情報」は隅から隅まで細かーく読む。カタログなどはどこの印刷所が作成したかまでチェックする、笑。それがなんであれ裏に「作り手」「情報発信者」がいると思うとディテールが無視できないのである。ディテールフェチなのだ。ブログの場合は、どういう種類のブログかにもよるが、基本的に「楽しくツラツラと日々の思いを綴っていまーす」調の独り言系ブログなんかは本当はサラリと読み流すのが礼儀なのかもしれない。(笑)でもやっぱり楽しければ楽しいほどドップリと熟読させて頂く。(ははは、今きっと何人かのブロガーのお友達はビビってるかも、笑!?!)

このブログ、当初はもっと日々の事をツラツラダラダラ書いていくつもりだったのが、仕事関係の情報を載せていくうちに何となく微妙に「お行儀のよい」ブログになってきてしまった感がある。ははは。(笑)方向性かえようかな〜。

さてさて、今朝ひとつブログを母から紹介されたので今回はそのお話。身内話で申し訳ないが、私の従姉のブログである。
http://douyou-bi.cocolog-nifty.com/blog/
彼女、歌舞伎の世界でのお仕事を経て職場結婚し、今は3人の子供の母で専業主婦として立派に家を守る。私は日本を離れて11年になるので時折母経由で近況をきき、「えっ、結婚するの?」「えっ、子供生まれるんだぁ〜、ええつ?もう3人目?!」みたいな感じだった。一人っ子の私にとって彼女は子供の頃から夏休みだなんだと一緒に育った実のお姉さんのような存在の一人。知らないなりに知っていると思っていた彼女という存在がブログに綴られた彼女の日々の思いを読んでいくうちに(もちろん細かくすべて読みましたよー、笑)空白を埋めるがごとくに彼女という人がもっともっと3Dになっていく感じで不思議なセンセーションを覚えた。

彼女は自身のプロフィールで「子育てに忙しく行動範囲が狭い代わりに世の中の事情には敏感で。。。」という。たしかに仕事のお陰で世界を案外自由に移動する機会のある私と「行動範囲」だけくらべるならば確かに「狭い」かもしれない。でも私は彼女の日々の地に足のついた生活ぶり、日本という国の中で将来を担う子供を育てながら彼女の考える教育論などインターナショナルにも応用できるものであるし、彼女と「日本」という国の関係を非常に近く感じて正直その張っている根をうらやましく思った。外国に住んでいるとエキサイティングな事も沢山ある。特にうちのように外国人2人(うちのパートナーはオーストラリア人)が外国の都市に住んでいるとすべてがミックスにミックスを重ね、それはそれで面白い色になる。でも張りたくてもどっしり張り切れない「根」があるのも確かでそこに一抹の寂しさを感じる。どんなに家を持って家具をそろえ、仕事もこの国関連でもやはり外国人は外国人。

外国暮らし、特に欧米ではなくて東南アジアだと特にその生活の特異性が増す。日々の会話が「もう、弟がデング熱にかかってぇ〜」とか「最近ネズミがよく石鹸齧って困るのよねぇ。」とか。笑。つい先日もうら若き乙女がカフェで盛り上がった話が「共産主義とマルキシズム」..かた、固すぎる。若々しくないぞー!笑。こんな私にとって従姉の東京子育て日記がどんなに新鮮にキラキラと映った事か...あー隣の芝はいつみても青々してますなぁ...笑。身近な人間が「文章で」語る生活、人生って会ってお喋りする以上にすっごく面白い!!素敵な発見でした!!