今から11年前。当時ベトナムのサイゴンで画廊を運営していた私はChristophe Ponsというフランス人画家に出会った。当時彼は3ヶ月くらいの予定でベトナムを旅しながら人々や街をスケッチブックにおさめていた。その素描の早さ、正確さとラインの美しさに腕のあるアーティストだなぁという第一印象を受けた。その彼がサイゴンでポートレートのスタディーをしていた時に私を描いてくれた。今日はその後額装したこのポートレートの落ち着き先の話。
落ち着き先といっても、それは我が家に決まっているのだけれど、さて、どこに飾るか、という問題。
このポートレート、息子が1歳半の頃にはじめて見た時に「マミ〜」と喜んだくらい私の特徴をよくとらえている。ポートレートをじっとみつめると鏡に映る自分と対峙するのとはまた違う、なんだか本当の私よりも人格者のもうひとりの私に心の中を見透かされる感覚に陥る。
世の中には自分の肖像画や写真のポートレートを家中に飾るのがお好きなかたもいるが、私は生憎そういう趣味はない。アンディー・ウォーホルのモンローみたいな肖像画ならばちょっとジョークで置いてみましたという感じにもなるかもしれないが(それでも私はしないけれど、笑)Pons氏の作品はサイズこそA4を少しかける位と小さめでも存在感がある。
でもせっかく思い出の多い素敵な作品。お蔵入りはもったいない。広いお屋敷ならば長い廊下のどこかにとかたまに使うドローイングルームにとか案はいろいろあるのだろうけれど、ロンドンの我が家の限られた空間ではさてどこがいいのか。悩むほどの空間がない。笑。
リビングルームだと<ワタクシがこの家の唯一の主でございます>のような感じになってしまって威圧的。家族で寛ぐ時にいつもそこに私の顔があるのも落ち着かない。来客にとっては右見ても私、左見ても私、ではさらに申し訳ない、笑。夫婦の寝室、自分に見つめられて就寝して良い夢がみれるのだろうか?息子の部屋、「いつもママはあなたを見ていますよ!」という感じでちと怖い。ホームシアターにしている部屋が一番おさまりはいいのかな。でも皆で映画鑑賞してる時にポートレートから笑い声とかすすり泣きとか聞こえてきそう。笑
今は黒い立体の額縁に入っているのだけど額装を思い切ってかえてみようかしら。そうしたら少し威圧感が減るかしら?さて、どうなりますやら。