1/4/07
albb talks: Kim Huynh& Dr. Ashley Carruthers
昨年の話になるが12月はalbbトークが充実していたのでご報告。
まずカナダのカルガリー在住のベトナム系カナダ人アーティストKim Huynhがカナダにおけるアジアアートの現在について語った。(写真左部分上下)彼女自身の作品も含め、多くのアジア系カナダ人アーティストの作品をスライドを使って紹介してくれた。ベトナム系、中国系、日系、と様々なバックグラウンドを持つアーティスト達の作品の底辺に共通点があるとすれば殆どすべての作品が何かしらの形で“アイデンティティー”を追求している点。「移民系のアーティストは“アイデンティティー”ものを扱わないとメジャーになれないの?!?」という参加者からの素朴な疑問からディスカッションは盛り上がりをみせた。
そして日を改めて、次のトークはオーストラリアのキャンベラ大学でアンソロポロジーを教えるDr. Ashley Carruthers。(写真中央と右)彼の研究対象は海外移住したアジア人(ボートピープルとは限らない)の生態。その中でも流暢なベトナム語をいかしてベトナム系移民の研究に力を注いできた。今回のトークではベトナム系移民が抱くベトナムの今のイメージとベトナム(特にサイゴン)の現状とのギャップに焦点をあてた。アメリカ・カリフォルニア州にあるベトナム系アメリカ人が経営するフィルムプロダクションが海外在住ベトナム人向けに製作するテレビ番組を例にとって様々な事情で国を去った彼らの抱く“ノスタルジック”なベトナム(1975年前後)と高度経済成長期真っ只中にありネオンきらめくパーティータウン、サイゴンの現状を比較した。トークにはスピーカーの希望で多くの海外帰りで現在サイゴンで仕事をするベトナム系アメリカ人やオーストラリア人を多く招いたのだが、修士、博士号は当たり前の彼らの高学歴ぶりには改めて驚いた。異国で2世、3世として馬鹿にされずに生きていくにはやはり学歴が必然的に重視されている現状が浮き彫りになった。